今回の記事は、筆者が上海で現地SIMを購入し、プランを契約したときの話である。中国の電話番号を持ち続けたい方の参考になれば幸いである。
短期旅行で、中国の訪問も数年に一度程度であれば、Amazonなどで渡航前に購入したほうが良いであろう。筆者の場合、
- 頻繁に中国を訪問するので毎回AmazonでSIMを購入するのは面倒あり、割高である。
- Alipay(支付宝)・WeChat Pay(微信支付)での支払いをしたかったので中国の銀行口座を開設する必要があるが、口座開設には中国の携帯電話番号が必要である(2019年11月からは銀行口座がなくてもAlipay・WeChat Payでの支払いができる仕組みが提供されたが)。
ということで、中国の現地SIMの購入を試みた。SIMの購入とその後の電話番号維持の方法の二つに分けて、筆者の体験から解説していきたいと思う。
中国の現地SIMの購入
中国には、
という3大キャリアがある。通信状態が比較的良く、公式ショップの多い、中国移動か中国聯通をお勧めするが、ここで注意が必要なのが周波数(Band)である。
周波数(Band)
中国移動(China Mobile)の4Gの周波数は、日本の大手キャリアから出ているAndroid端末のそれと合っていない場合が多い。SIMを購入する前に利用予定端末が対応している周波数を確認されたい。無論、SIMロックは解除されている必要がある。iPhoneであれば多くの周波数に対応しており、中国移動の4Gの周波数もサポートしている。
世代 | 周波数帯 | 中国移動 (China Mobile) | 中国聯通 (China Unicom) | 中国電信 (China Telecom) |
---|---|---|---|---|
5G | n41 | 〇 | ||
n78 | 〇 | 〇 | ||
n79 | 〇 | |||
4G (LTE) | Band1 | 〇 | 〇 | |
Band3 | 〇 | 〇 | ||
Band5 | 〇 | |||
Band8 | 〇 | |||
Band38 | 〇 | |||
Band39 | 〇 | |||
Band40 | 〇 | 〇 | 〇 | |
Band41 | 〇 | 〇 | 〇 |
上記は、本記事投稿時点での各中国キャリアの4G、5Gの周波数帯であるが、4G以下は時々変わるようであり、近年、3Gに関しては提供を止める傾向にあるようである。
パスポートのみで購入可能
中国移動と中国聯通に関しては、パスポートだけでSIMの購入・プラン契約が可能であった。2019年の話である。中国電信に関しては未確認である。
SIMの購入は公式ショップをお勧めする。英語が通じる店員がいる。野良ショップだと、数百元ほどの値段を要求されるので(単なるぼったくり?)、お勧めしない。
店舗内に入って整理券を受け取るか、店員にSIMを購入したい旨を伝えれば、あとは順番になり次第、カウンターでの対応になるのは日本のキャリアのショップと同じである。
筆者は、中国移動のSIMについては”小魔卡”という名称のプランにした。月額基本料金18元(日本円で300円程度)、30分の中国国内無料通話を含み(超過は0.19元/分)、1日データ通信するごとに1GBで1元掛かるプランである。メール送受信、ネット検索や百度地図で経路検索をしているだけであれば1日1GBあれば十分である。
以下の画像は筆者の2019年12月の料金である。11日分のデータ通信があったので、月額基本料金18元に11元が加わり、29元(日本円で500円弱)であった。安い。
料金の支払い方法であるが、多くの国では、現地住民用のPostpaid方式(銀行口座やクレジットカードから引き落とされる)と旅行者向けのPrepaid方式(あらかじめお金を払っている)があったりするが、中国の携帯料金はアカウントにチャージされたお金から引き落とされる方式であり(要するにPrepaid方式だけ)、最初にいくらか、チャージしておく。
プランの変更は翌月にならないと反映されないので、中国出国間際に月額基本料金が最安のプランに変更し、再訪問したときにプランを戻すという方法を採る場合は注意されたい。
中国の電話番号の維持
電話番号の維持は、月額基本料金を払い続けることで実現される。月額基本料金はチャージされているお金から引き落とされるので、つまりはチャージされているお金を絶やさないようにしておけばよい。筆者の場合、月額基本料金が18元なので、1年間で日本円で3000円ちょっとが中国の電話番号の維持費となる。
以下の画像は筆者の2020年3月の料金である。1日もデータ通信せず、通話もしていないので、月額基本料金のみとなっている。
引き落としの際にお金が足りずに引き落としができないと、電話番号が失われてしまう。
チャージは、中国国外からでもできる。以下、中国移動を例にしてチャージ方法を解説する。
中国移動の公式アプリをスマホにインストールし、セットアップしておく。前出の料金の画像も公式アプリで確認できるものである。
そして、アプリの”充値交费”からチャージ画面に入る。このとき、ログアウト状態だとログインする必要があるが、ログインする場合は電話番号にSMSでワンタイムパスワードが通知されるので、SIMを装着して電話回線の電波をつかんでいる必要がある。日本国内だとdocomoの電波をつかむようである。データ通信はOFFの状態でよい。既にログイン状態であれば、ネット接続だけでチャージができる。
チャージしたい金額を選択する。吊るしの額以外にしたい場合は、”自定义”(自分で指定するという意味)を選択して金額を入力する。ここでは30元を選択した。
9.98折になるようである。この”折”という表記は中国の店舗ではよく見るものであるが、何割の値段になるということを表し、今回の例だと、99.8%の値段になる(0.2%引きになる)ということである。”立即充値”(すぐにチャージするという意味)をタップすると、支払い方法選択画面になる。
Alipay(支付宝)やWeChat Pay(微信支付)でも支払えるが、ここでは、Apple Pay越しに中国の銀行口座のUnionPayで支払った。
銀行口座の暗証番号を入力する。ちなみに、中国の銀行口座の暗証番号は6桁である。処理が成功すると、現在のチャージ金額に反映される。
【2021年7月22日追記】そろそろチャージ金額が少なくなってきたので久しぶりにチャージしてみたが、上記の方法で依然としてチャージできた(支払い方法として”花呗支付”が追加されたようである)。事情がコロコロと変わりやすい中国なので、ここに生存確認を残しておく。
【2022年7月27日追記】2022年7月時点でSIM購入から3年以上経過しているが、問題なく使えているようである(アプリからのログインと日本でのSMS受信を確認しただけだが)。
【2023年11月6日追記】2019年にSIMを入手した時点では試せていなかったが、5Gでもちゃんと通信できるようである。2023年11月時点で中国現地でiPhone12 ProMaxで使用したところ、5G表示となったためである。
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電話番号を持っていても容易に海外渡航ができない昨今ですが…