検証日:2021年4月上旬
検証結果:モバイルSuica端末でも沖縄MaaSでゆいレールを利用できたが、あくまで公式には利用できるとはされていない
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沖縄MaaSとは?
沖縄MaaSとは、沖縄のモノレール(ゆいレール)、バス、船舶、観光施設のチケットをスマホから購入、利用できるサービスである。クレジットカードで事前決済し、スマホでQRコードを通して利用する形態である。沖縄全域が提供地域なので、宮古、石垣もサービス対象となっている。利用できる交通、施設の詳細は公式ホームページに掲載されている。
MaaS(マース)というのは、バスや電車、船舶、シェアサイクルなどのさなざまな交通形態を一つの移動サービスとして統合したものであり、Mobility as a Serviceの略である。
沖縄MaaSは、沖縄で実施されているMaaSであり、前述のように移動サービスに加え、観光チケットも提供している。国土交通省の令和2年度日本版MaaS推進・支援事業に選定されたMaaSの実証事業であり、過去には「沖縄CLIP トリップ」というMaaSもあったがこれも実証事業であり、2020年3月31日をもって終了している。
沖縄MaaS公式ホームページ
> https://service.paycierge.com/okinawa-maas/
ゆいレール一日乗車券と沖縄MaaSはどっちが得か?
ゆいレールの一日乗車券は、購入時から24時間有効である(二日乗車券の場合は48時間)。
沖縄MaaSのゆいレール終日利用券は、24時間ではなく、指定日のみ有効である。
ゆいレール一日乗車券:800円(こどもは400円)
沖縄MaaSのゆいレール付きの最安乗車券:660円(ゆいレール終日+やんばる急行バス古島駅前-大平)
ゆいレールを一日だけ乗るならば、沖縄MaaSの「ゆいレール終日+やんばる急行バス古島駅前-大平」を購入した方が安いということになる。実際にやんばる急行バスを利用しなくても、無論、良い。
ちなみに、沖縄MaaSでもゆいレールの24時間、48時間の乗車券は購入できるが、料金はゆいレールの自動券売機で購入するものと同じである。クレジットカードで購入できる、券売機に並ばなくてもよい、というところが利点になるかもしれない。ただし、初回にユーザー登録が必要である。沖縄MaaSの利用はすべて公式ホームページから行う。
【2022年4月21日追記】2022年3月31日を以て、ゆいレール終日+やんばる急行の販売は終了した。
【2024年5月8日追記】2024年5月時点で沖縄MaaSのゆいレール終日乗車券は650円である。また、2023年12月27日より、JAL MaaSにてゆいレール終日乗車券+ドリンク(500円相当)付きが700円で販売が開始された。購入によりJALマイルが40マイル貯まるようである。
JAL MaaS – 沖縄
> https://www.jal.co.jp/jp/ja/relations/jalmaas/okinawa/index.html
モバイルSuica・モバイルPASMOとの共存は不可?!
沖縄MaaSでゆいレールに乗る場合、モバイルSuica、モバイルPASMOが設定されていないスマホで利用するようにアナウンスされている。
・ゆいレールで電子チケット利用する場合は、モバイルSuicaおよびモバイルPASMOが設定されていないスマートフォンをご利用ください。
引用:沖縄MaaS公式ホームページ
・ゆいレールで電子チケット利用するかつApplePayのサービスが入っているiPhoneの場合、改札機の電波に反応してApplePay画面が上から表示される場合があります。改札入出場時にApplePay画面が出てしまう場合は、駅改札窓口にて個別対応いたします。
沖縄MaaSに確認したところ、これは、スマホを改札機に近づけた場合に沖縄MaaSのQRコードではなく、モバイルSuica、モバイルPASMOの方が反応してしまう可能性があるためとのことであった。
でも、モバイルSuica端末で沖縄MaaSを使ってゆいレールに乗ってみた
実は、筆者の経験上、ゆいレールの改札機でSuicaを使用する場合は東京のJRなどの読み取り機よりも近づけないと反応しないように感じていた(逆に言うと、本土のSuicaは2cm程度離れていても反応するので”タッチ”ではなく翳すように使える)。その真偽は不明だが、ゆいレールの紙の乗車券のようにQRコードを改札機にベッタリつけなくても少し浮かせた状態で翳せば、モバイルSuicaは反応せずに沖縄MaaSのQRコードの方が処理されるのではないかと思ったのであった。
そこで、実際に試してみた。スマホはau SCG02 Galaxy S20+を使用した。
画面の下側のQRコードを改札機の読み取り部に近づけるように翳す。決して、ベタっとタッチしない。すると、ピッと改札機から音が鳴り、反応した。そして退場時も同様に行う。これもうまくいった。念のため、モバイルSuicaアプリで処理履歴を確認してみたが、Suicaとして処理された形跡は無さそうだ。どうやら使えたようであった。
スマホの画面を明るくしたり、QRコードを拡大表示しなくてもSuicaが反応することはなかった。今回の検証で6回試したが、すべてSuicaとして処理されることはなかった。
(あくまで自己責任で実施しています)
沖縄MaaSの使い勝手は?
沖縄MaaSは観光型MaaSとのことなのだが、モバイルSuicaをセットアップしていないスマホを前提としてしまうと、日本国内の観光客で沖縄MaaSを使えないことになる人はかなりいると思われる。
また、QRコードでの乗車と言えば、中国の電車・バスのAliPay、WeChatPayであるがこれらは専用アプリを使用する。一方で、沖縄MaaSは専用アプリのインストールは不要でスマホのブラウザから沖縄MaaSのホームページにアクセスして、チケットの購入、利用を行う。この専用アプリをインストールする必要がないというのは一時的に利用することが想定される観光客にはメリットである一方、購入したチケットのQRコードを表示させるために毎回ホームページからログイン操作をしなければならなくなる。最悪、ゆいレールの入場時と退場時にそれぞれログイン操作が必要になる(以下に追記あり)。筆者はこれが面倒に感じた。
沖縄MaaSは、本記事投稿時点では、第2フェーズとのことであり、実証事業であることから改善が望まれる。
【2021年11月12日追記】第2フェーズの期限は2021年9月30日であったが、2022年3月31日まで延長されることが2021年9月16日に発表された。
【2022年月4月9日追記】沖縄MaaSに確認したところ、利用期間は以下のように改めて変更したとのこと。
チケット販売期限:2022年5月31日まで
チケット有効期限:2023年3月31日まで (利用日指定チケットについては利用日が有効期限)
【2022年4月21日追記】2021年11月29日からLINE連携になったことでチケット利用時のログイン操作は必要なくなり、LINEからチケットが利用できるようになった。
【2022年6月13日追記】沖縄都市モノレール株式会社によると、沖縄Maasの実証実験は2022年3月31日を以て終了したが、サービスは継続して利用は可能とのことだ。
沖縄MaaSの実証実験は2022年3月31日に終了しましたが、2022年4月1日以降もサービスを継続いたします。
引用元:沖縄都市モノレール株式会社ホームページ おしらせ
https://www.yui-rail.co.jp/news/5325/
また、電動キックボードRimoとゆいレール乗車券がセットになったお得なチケットが購入できるようになっている。電動キックボードRimoは以前、以下の記事で紹介した車種シリーズであり、那覇空港駅での受け渡しになるようだ。
【2023年4月24日追記】iPhoneで沖縄MaaSのゆいレールチケットを使用するのはかなり面倒である。iPhoneの画面に表示させたQRコードを改札機の読み取り部に近づけるとApple Payが起動してしまい、スマホに表示したQRコードが隠れてしまうからだ。何度か試すと沖縄MaaSのQRコードの方が反応する場合もあるが、沖縄MaaSのQRコードで乗車する場合は改札機の「ピッ」という音しかしないため、他の人が別の改札機で通過していると自分の改札機が反応したのかが分かりにくい。LINE連携でQRコードを表示させる仕様となったが、iPhoneではなくApple WatchのLINEアプリにQRコードを表示することはできない。駅改札係員に画面を見せれば改札を通過できる。
【2024年5月8日追記】前述のiPhoneでの沖縄MaaSの問題は2024年5月時点でも発生することを確認した。