日本人が中国で口座開設した話

投稿日:2020年7月1日
更新日:

今回は、中国非居住者である筆者が中国で銀行口座を開設したときの話である。

筆者は日本在住であるが、ある理由のために中国の銀行口座がほしかった。その理由とは、Alipay(支付宝)、WeChat Pay(微信支付)での支払いのためである。今回の話は2019年の話であるが、当時、日本人がAlipay・WeChat Payで支払いをするには、中国の銀行口座を持っているか、これらを使用している知人にお金を送ってもらうか(あるいはそのようなサービスをやっているサイトを利用するか)、日本の空港などに設置してあるポケットチェンジでチャージするか(WeChat Payのみ)、しか手段がなかった。2019年11月からは外国人でもクレジットカードでAlipay・WeChat Payにチャージして支払いができるようになったので、中国に住んでいない外国人が中国の銀行口座を開設したいと思うケースは少ないかもしれないが、今後口座開設したいという少数の方の参考になればと思い記事にした。

口座開設できた銀行

事前にネットで情報収集し、口座開設できるとされる銀行名を確認しておいたが、結果は違った。筆者は上海市内のかなりの銀行の支店を回ってみたのだが、口座開設できたのは以下の2銀行だけであった(2019年時点)。

  • 中国光大銀行(China Everbright Bank)
  • 中国銀行(Bank Of China)

中国工商銀行(ICBC)、中国建設銀行(CCB)、招商銀行(CMB)、交通銀行(Bank of Communications)、中信銀行(China CITIC Bank)、兴业银行(Industrial Bank)、中国农业银行(Agricultural Bank of China)、温州銀行(Bank of Wenzhou)は、中国に住んでいるか、中国で仕事に就いているかのいずれかが求められ、筆者は条件を満たさないため口座開設できなかった。

なお、行員は英語が話せる人が多かった。

中国光大銀行(CEB)での口座開設

中国光大银行の上海分行の営業時間
中国光大銀行上海支店の営業時間(2019年当時)

これは筆者が口座開設できた中国光大銀行での体験談である。

持参するもの

  • パスポート
  • 中国のSIM(電話番号あり)とそれを使用した携帯電話
  • 納税者番号 (ない場合は日本でのマイナンバー)

口座開設時に、申請した携帯番号宛に銀行側から確認番号がショートメッセージ(SMS)で送信され、その確認番号を窓口で入力する必要があるので、申請した携帯番号の回線が口座開設時の窓口にいるときに使用できる必要がある。中国の携帯番号については過去記事で紹介しているが、パスポートのみで取得可能である。

また、口座開設後に電話番号が変わった時は窓口で変更手続きをする必要がある。

納税者番号については中国で納税していない場合は日本のマイナンバーを求められる。これがないと口座開設はできないと言われた。マイナンバーカード本体は不要であり番号さえ伝えれば良い。マイナンバーを伝えるのは不安という方は、参考として在上海日本国総領事館のアナウンスを引用しておく。中国というお国柄なので最終的にはご自身の判断になる。

 最近,中国国内の銀行で銀行口座を開設する,両替を行う,身分証番号を更新する,といった諸手続の際に,銀行側から納税者番号としてマイナンバー(日本国内で実施されているマイナンバー制度における個人番号)の記載を要求されるという情報が寄せられています。また,マイナンバーを示す事ができず,口座開設が行えなかったという情報も寄せられています。
 現時点で,当館がいくつかの銀行に確認しましたところ,確かにマイナンバーの提供を要求している実態がありましたので,これから中国において銀行口座開設等の手続きをお考えの方は留意しておく必要があります。
 一方,日本でマイナンバー制度の運用が開始される前から海外に在住されているなどの理由でマイナンバーが指定されていない場合には,その旨を銀行に説明することで銀行口座開設等の手続きが行えたという情報もありますので,こちらも参考としてください。
 なお,「海外の金融機関に口座開設を行う際に,マイナンバーの提供を求められる」という点については,国税庁HP内にQ&Aが掲載されていますので,ご参照ください。
(参考)
国税庁HP内FAQ3-13-1,Q3-13-2 をご覧下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gaiyou.htm

引用:在上海日本国総領事館ホームページ
https://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/procedure/bank.html

口座開設の流れ

口座開設は有人の窓口で行う。ちなみに、中国光大銀行に限らず、一般的に中国の銀行は土日も営業している支店がある。店舗に入ると、日本と同じく整理券を発行してもらい順番待ちするが、整理券を発行してもらう機械のそばに警備員か行員がおり、どのような用事かを伝えれば、順番待ちのキューに積んでくれる。警備員は英語が話せないようで、筆者が英語で話しかけると行員を呼んで対応を依頼していた。

口座開設における窓口でのやり取りはトータルで30分以上かかった。

窓口では申請書に個人情報を記入したり、何枚かの文書に署名をしたり、携帯のショートメッセージ(SMS)で認証をしたり、暗証番号を登録したりする。申請書に記入する情報は、

  • 氏名(ローマ字)*
  • 身分証明書の種類(中国の身分証かそれ以外(具体的に何であるか))
  • パスポート番号
  • 生年月日
  • 国籍
  • パスポートの有効期限
  • 性別
  • 住所*
  • 電話番号 (この番号にSMSが送られて認証する)*

であった。ただし、筆者が記入したのは*印の項目だけで他は行員がパスポートから転記した。住所については中国に住んでいるかどうかは問われなかったため、筆者は滞在先のホテルの住所を記載した。

窓口はガラス越しになっており、下側に穴があり、そこからパスポートやら用紙やらの受け渡しを行う。申請書や署名した文書は複写式の用紙になっており、本人用の控えは貰えた。

中国光大银行の口座開設の申請書の控え
中国光大銀行の口座開設申請書の本人控え

ショートメッセージ(SMS)による認証は、申請書に記載された携帯電話番号宛に銀行側から確認番号をSMSで送信し、SMSを受信した筆者が窓口にある端末に確認番号を入力する、という手順であった。この端末は暗証番号の登録にも使用する。

予めAlipayやWeChat Payを使用したい旨を伝えておけば、オンラインバンキングの対応も同時に行ってくれる。

口座の暗証番号も登録するが、暗証番号は6桁である。一般的に、中国のシステムの暗証番号は大抵6桁である(AlipayやWeChat Payの支払い時の暗証番号も6桁である)。

その場で銀行カードは発行され、即日利用可能となる。

中国光大银行のカード券面
中国光大銀行のカード券面

現金の入出金はATMを使った方が速く(当たり前か)、ATMは24時間やっているようである(すべてのATMがそうなのかは未確認)。

中国光大银行の上海分行のATM営業時間
中国光大銀行上海支店のATM営業時間

中国銀行(BOC)での口座開設

中国全土に支店があり、ATMも多いのでこの銀行で口座が作れると良い。

持参するもの

  • パスポート(中国のビザあり)
  • 中国のSIM(電話番号あり)とそれを使用した携帯電話
  • 納税者番号 (ない場合は日本でのマイナンバー)

中国光大銀行とは違い、ビザが求められた。ビザならどんな種類でも良いのかは不明だが、筆者がそのとき取得していた業務ビザ(M)では通った。ビザはパスポートに貼ってあるだけなので、厳密には中国光大銀行でもビザが貼ってあるページを確認していたのかもしれない。

口座開設の流れ

前述の中国光大銀行と違う部分だけを解説する。

申請時に求められる情報としては、中国光大銀行で求められた情報に加えて、

  • 職業
  • 所属名(勤務先名など)
  • 月収(単位は人民元)
  • 日本における住所

があった。ただし、月収については、筆者に問うことはせずに行員が適当に記入した。

他は、ほとんど中国光大銀行と同じである。ただし、中国銀行は口座開設を断られた支店もあり、筆者が口座開設できたのは3支店目だった。最初の2支店が不可となった事情は後述する。

中国银行のカード券面
中国銀行のカード券面

スマホアプリで残高・明細確認できる

中国光大銀行も中国銀行も公式アプリがあり、そのアプリから残高照会や取引明細の確認ができる。どちらの銀行のアプリも、アカウントはIDが携帯番号で、パスワードは暗証番号とは別に設定する。アカウント登録が出来てしまえば、あとはインターネットに接続できる環境であればどこでも使える。日本からでも使える。

中国银行のアプリ
出典:中国银行股份有限公司

直近の1年の取引明細が確認できる。

【2021年12月13日追記】上記2銀行とも口座開設から2年以上経過したが、2021年12月時点でもスマホアプリからログインができ、Alipay等での引き落としは出来ている。ビザが切れたら口座も凍結ということにはなっていない。

UnionPay(銀聯)としてコンタクトレス決済ができる

中国银行のカード券面裏側
中国銀行のカード券面(裏)のコンタクトレスマーク

券面の裏側にコンタクトレス決済のマークがあり、UnionPay(銀聯)に対応している地下鉄などでは改札機に銀行カードをかざすことで乗車ができる。

合肥の地下鉄の改札機
合肥の地下鉄の改札機

口座開設できなかった銀行・支店で求められたこと

筆者が口座開設できなかった銀行・支店は以下が求められた。

  • 中国に住んでいないといけない。ホテルの住所はダメ。
  • 中国で仕事に就いていないとダメ(ビジネスカンファレンス目的での中国訪問ではダメ)。

また、同じ銀行でも支店によって求めてくることが異なる。例えば、中国銀行は前述の通り口座開設できたが、別の支店では外国人工作許可証を求められ、それを持っていない筆者は口座開設できなかった。また、これも中国銀行であるが、ホテルの住所ではちょっと…と言われて断られたこともあった。これはオンラインバンキング用のUSBキーが後日郵送されるので、ホテルの住所だと荷物到着時点で既に居なかった場合を懸念した判断のようである。担当した行員にそのように言われたのだが、この行員の独断なのかは不明である。口座開設できた中国銀行の支店では、筆者はAlipay・WeChat Payが利用できれば良いと伝え、USBキーを申請しなかった。

中国非居住者の外国人による口座開設についてあまり詳しくない行員もおり、開設できるかについて規定を調べ始めたり、複数の行員で議論が始まったりしていた銀行もあった。

外国人の口座開設は厳しくなってきている?

中国工商銀行(ICBC)は、2019年時点ではネットを検索するとあっさり口座開設できたという情報が出てきたりしていたのだが、筆者が上海で試したところ、どの支店でも中国に住んでいるか、中国で仕事に就いていないとダメかのいずれかを開口一番で言われて口座開設できなかった。銀行内でルールが設けられたのかもしれない。

こういった規制は日々変わっているので現地で試してみるしかないのかもしれない。

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支店ごとに対応が異なり、試してみたら口座開設できたという状態でありこれで正しいのかどうかは正直なところ分かりませんので、実践される方は自己責任でお願いします。

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