今回は、日本人が利用するのにハードルが低い、GrabPayの使い方を筆者の体験をもとに解説したいと思う。
- GrabPayが何かを3行で説明すると
- GrabPayが展開されている国
- GrabPayを使用するのに必要なもの
- GrabPayのアカウント作成方法
- GrabPayのチャージ方法
- GrabPayでの支払い方法
- 各登録国の固有事情
- GrabPayを使うメリット
GrabPayが何かを3行で説明すると
- チャージ型のモバイル決済サービス
- QRコードを読み取って支払う
- 東南アジア諸国で展開されているが、日本人旅行者でも利用できる
店舗(in-store)での支払いは事前にチャージされたお金(GrabPay Wallet)から引き落とすものであり(プリペイド式)、クレジットカード・銀行口座から直接引き落とすもの(リアルタイムペイ式・ポストペイド式)ではない。
公式ホームページ
> https://www.grab.com/my/pay/
GrabPayが展開されている国
本記事投稿時点(2020年7月時点)で、GrabPayが展開されている国は、
- マレーシア
- フィリピン
- シンガポール
- タイ
- ベトナム
- インドネシア
である。カンボジアとミャンマーでもサービス展開が計画されている。日本でサービスは展開されておらず、計画も現時点ではないようである。従って、当然、マイナポイントの対象でもない。
GrabPayを使用するのに必要なもの
GrabPayを使用するのに必要はものは、
- スマホ(電話番号があり、SMSとインターネットが使用できること)
- Grabアプリ
- パスポート番号とその有効期限
- クレジットカード
- メールアドレス
である。これらが用意できれば良いので日本人でも使用することができる(ただし、シンガポールでの利用については後述する)。日本で発行されたクレジットカードが使用できる。
SMSはアカウント作成時およびアカウントへのログイン時に使用し、それ以外ではインターネットに接続されていればよい。
GrabPayはGrabアプリの一機能として提供されているので、Grabアプリをスマホにインストールする必要がある。
なお、フルスペック(支払い金額上限のアップとお金の送金機能)を利用するにはパスポートとは別に現地国発行の身分証による認証が必要となるため、短期旅行者には利用できない。
GrabPayのアカウント作成方法
Grabアプリを立ち上げると電話番号入力画面が表示されるので、電話番号を入力して”Continue”をタップする。その後にSMSで確認番号が送られてくるので入力する。従って、このタイミングで電話回線を掴んでいる必要がある。
入力した電話番号で初めてログインした場合は、名前、メールアドレスを入力する画面に遷移する。メールアドレスは同じものは登録できないので、複数の電話番号で同じメールアドレスのアカウントは作成できない。電話番号はあとから変更することができるが、そのときアカウントはメールアドレスで識別しているようである。
日本の電話番号でもアカウント作成することは可能である。ただし、チャージするには現地SIMでないとできない国もある。これについては後述する。
このタイミングでのスマホの位置情報がアカウントの登録国となり、使用する通貨の選定に使用される。スマホの位置情報がOFFであったり、Grabアプリの位置情報取得権限を付与していない場合は、手動で位置を設定する。登録した国はあとで変更することができる。
GrabPayのチャージ方法
チャージ手順
1.トップ画面の”Payment”をタップする。
2.パスポート情報を登録していない場合は、”Set up your GrabPay Wallet”が表示されているので、それをタップして登録する。
3.再びPayment画面に戻り、”Top Up”をタップする(下の画像は既にいくらかチャージされている状態であるが)。
4.”Cards”をタップする。
5.チャージ金額を入力する。マレーシアリンギットの場合、50、100、200RMの吊るしがあるが、それ以外にもフリーで入力できる。最低金額は20RMからである。
チャージ金額を設定したら、”Payment Method”の”Select from the list”をタップする。
6.クレジットカードを選択する。”International card”欄には既に登録済みのカードが並ぶ。これはPayment画面右上の設定アイコンや”Add a card”にて登録できる。
“Others”には使用できるクレジットカードのブランドが並ぶ。マレーシアの例だと、
- MasterCard
- VISA
- アメリカン・エキスプレス
- UnionPay(銀聯)
- JCB
である。ここから選択操作してもカード情報を入力しても良い。
7.チャージ方法、金額に問題無ければ、”TOP UP”をタップする。
8.クレジットカードの処理が成功すれば、その旨が画面に表示される。
これでおしまいである。
チャージされたお金のことを”GrabPay Wallet“と呼ぶ。アカウントに登録している位置情報の国の通貨でチャージされるので例えば位置情報をマレーシアにしている場合はリンギット(RM)となる。位置情報の登録を別の国に切り替えてもチャージ済みのGrabPay Walletは両替されず、そのまま残る。例えば、マレーシアからシンガポールに切り替えてもチャージしたリンギットはそのまま残り、シンガポールドル(SGD)でチャージしてもチャージ済みのリンギットと合算はされない。Credits画面で”All currencies”をタップするとそれぞれの通貨のチャージ金額が確認できる。
チャージは少額でもできるので(リンギットの場合だと20RMから、シンガポールドルだと10SGDから)、GrabPay Walletを大きく余らせてしまうリスクも小さい。
【2024年10月3日追記】2024年10月時点でシンガポール滞在中にチャージしてみたところ、チャージ処理が完了するまでに数分かかる状態であった。店舗のレジ前で必要分だけチャージして支払うような使い方をする場合は注意が必要である。
日本に居るとチャージできない??
公式には、アカウント登録している国に居ないとチャージはできないとアナウンスされている。
NOTE: At this time, users cannot top up their GrabPay Wallet while overseas. You must be in the country where you registered your GrabPay Wallet for top-ups to happen. For example, if you have a Singapore GrabPay Wallet, you cannot top up your balance while you are in Indonesia.
引用:Grab公式ホームページ
“公式には”と表現したのは、チャージできる方法があるのが実状であるためである。筆者が日本に居てマレーシアで登録したGrabPayアカウントにチャージをしようとしたら、”Sorry, our server reported an error (Bad Input.). Please try again later.”と表示され、確かにチャージ操作は先に進めなかった。しかし、Grabアプリに対する位置情報の提供を許可しないようにスマホの設定を変更してGrabアプリを立ち上げなおしたところ、ログイン後に位置を選択する画面に遷移し、適当なマレーシアの場所を設定したら、チャージできるようになった。
この手動による位置情報は、GrabアプリのAccount>Settings>Location>Manage locationにて変更できる。
なお、VPNでだますことはできない。
GrabPayでの支払い方法
GrabPayでの支払い方法はPayPayと同じ手順である。
- GrabPayアプリを立ち上げる
- 支払い相手のQRコードを読み取る(※)
- 支払い金額を自分で入力する
- 確定操作を行う
- 店員に支払い完了画面を見せる
※Grabアプリには自分のQRコード/バーコードを支払い相手に読み取ってもらう機能も備えているが、筆者の体験上では自分でQRコードを読み取る方式しか経験したことはない。
Grab公式のYoutubeチャンネルでも手順が解説されているので以下に引用しておく(ただし、動画内のアプリ画面は少し抽象化されている)。
QRコードは、実際には、以下のようにレジのそばに置かれていることが多い(これもPayPayと同じ)。
各登録国の固有事情
国によって、登録情報、対応するクレジットカードブランド、最低チャージ金額(そもそも通貨が違うが)、登録国の電話番号である必要があるかなどの違いがあるので、記載しておく。
マレーシア
チャージにはVISA、MasterCard、アメリカン・エキスプレス、UnionPay、JCBが使える。1回の最低チャージ金額は20RM。
フィリピン
フルスペックを利用しなくても住所、職業、パスポート写真の登録が必要。住所は日本でも大丈夫なようである。1回の最低チャージ金額は200PHP。
シンガポール
チャージにはVISA、MasterCard、アメリカン・エキスプレス、UnionPay、PayPalが使える。1回の最低チャージ金額は10SGD。
2019年6月以降に新規アカウント作成するユーザーはNRIC/pass/Permitによる認証が必要となった。これらは短期滞在者には発行されないものであるため、これから新規アカウント作成する短期旅行者はシンガポールドルをチャージすることができなくなった。
タイ
チャージにはタイの電話番号が必要。チャージにはVISA、MasterCard、アメリカン・エキスプレス、UnionPay、JCB、Alipay(支付宝)が使える。
ベトナム
チャージにはベトナムの電話番号が必要。チャージにはVISA、MasterCard、アメリカン・エキスプレス、JCBが使える。
【2023年10月25日追記】2023年10月下旬時点で、Grabへのチャージを行うにはMocaというベトナムの電子決済サービスを有効化する必要があり、そのためにはベトナムの銀行口座が必要である。車、バイクの配車サービスの利用であれば、チャージすることなく日本発行のクレジットカードで支払いが可能である。
インドネシア
チャージにはインドネシアの電話番号が必要。チャージにはVISA、MasterCard、アメリカン・エキスプレス、UnionPay、JCB、LinkAjaが使える。
GrabPayを使うメリット
- GrabRewards pointというポイントが貯まり、支払いに利用できる
- クレジットカードからチャージすればクレジットカードのポイントも貯まる(ポイントの二重取り)
- 小銭を多く持ち歩かなくて済む
- 現金に触れないので衛生的である(QR決済なのでスマホを機械に接触させることもない)