検証日：2022年6月下旬
検証結果：3輪の電動キックボードで車体はしっかりしており、乗り味は悪くない。料金は高すぎず安すぎず。SMSが受信できる電話番号が必要。
クアラルンプールは電動キックボードのシェアリングサービスが市街地で展開されている。今回は、その一つであるZEUSの試乗レビューである。クアラルンプールでは2社が事業展開しており、もう1社のBeamについては以下の記事で紹介している。
公式ホームページ
> https://zeusscooters.com/
各見出しへのリンク
利用手順
準備として、ZEUSのスマホアプリをダウンロードし、アカウントを作成する必要がある。アカウント作成にはSMSが受信できる電話番号が必要である。
- アプリを立ち上げ、車両の場所を確認する
- 乗りたい車両のところまで行く
- 乗りたい車両を見つけたら、電池残量や車両の状態を確認する
- アプリから「Scan to unlock」ボタンをタップし、車両にあるQRコードを読み取る
- アプリから「Start the ride」ボタンをタップする
- センタースタンドをはらって、乗車する
- 目的の場所まで走行する
- 降車し、センタースタンドを立てる
- アプリから「End my ride」ボタンをタップする
- 車両全体が入るようにアプリから写真を撮って提出する
出典：ZEUS Scooters GmbH
車両の操作方法
ハンドル右にある摘み(スロットル？)を親指で押すことで加速する。ブレーキレバーは両側にあり(おそらく、右がフロントで左がリア)、ベルはダイヤル式のものが左側にある。速度(km/h)は表示されるが、顔を正面に向けていると視界に入らないので、走行中に速度を確認するには顔を下に向ける必要があるが、そもそも路面状態が良くなく、歩行者もそこそこいて、あまりスピードを出さない方が良いという感覚が先に来るので、速度超過になる前にアクセルやブレーキで減速してしまうのはBeamと同じである。
ウインカーはないが、ヘッドライト・ブレーキランプがある。
乗り出しは、最初に2、3回、片足でケンケンをして動き出してからハンドル右の摘みを押して加速する。車両は前2輪のためか、Beamよりも少し大きく、しっかりしたつくりに感じる。
料金
基本料金1.50RMで、1分につき0.50RMである。
1.50 RM to unlock the Zeus – OoGyaa escooter plus 0.50 RM for every minute you’re traveling.
引用元：ZEUS Oogyaaアプリ「FAQ」
10分利用すると、200円程度であろうか(本記事投稿日時点でのレート)。因みに、日本の電動キックボードLUUPだと200円(基本料金50円＋15円/分)なので、日本と同程度である。3輪の安定性の高い車両で走行できることを考えれば、むしろ割安か。
Beamは基本料金なしで0.60RM/分(ただし、平日の6:00-18:00は0.45RM)なので、平日の昼間や15分以内の走行であればBeamの方が安いが、ZEUSには後述する返却時のキャッシュバックがあり、また、車体の安定性が良いというメリットもある。
因みに筆者がクアラルンプール市内をBeam、ZEUSで走行したところ、1.2kmの走行でどちらも8分ほどだったが、数分程度の差は信号待ちや目的地によっても違ってくる。
1日乗車券(25RM)、1ヶ月乗車券(400RM)も用意されている(ただし、1日の利用回数、走行時間に制限あり)。
料金の支払いはチャージ式
チャージ式である。チャージはクレジットカードから行う。チャージ額は10RM(+1RM分ボーナス)、25RM(+5RM分ボーナス)、50RM(+15RM分ボーナス)から選択することになる。
最高速度は25km/h
最高速度は25km/hとなる。
筆者の経験では、歩道だと路面に段差があったり、歩行者がいたり、障害物があるので、25km/hまでは出していない。
走行場所は歩道か自転車通行帯である
この電動キックボードを走行して良いのは、歩道か自転車通行帯かである。日本とは異なり、車道の走行は禁止である。
走行路面には段差が多いが3輪なので安心
歩道は段差が多いが、ZEUSは前2輪であるためか左右の安定性が他の電動キックボードに比べて高く、多少の段差であれば十分耐えられる。運転していても安心感がある。この点はBeamよりもZEUSに軍配が上がる。
ボーナスゾーンで返却するとキャッシュバックがある
走行可能エリアであれば、基本的にどこで返却しても良いが(無論、法律上ダメなところや迷惑な駐輪は良くないが)、ボーナスゾーンで返却すると10%のボーナスがチャージされ、次回での走行に利用できる。
Our bonus zones are marked with purple lines in the app, if you park your scooter here you will receive a bonus of 10% of your trip.
引用元：ZEUSホームページ「Common Questions」
https://zeusscooters.zendesk.com/hc/en-us/articles/4445272589074-How-and-where-do-I-park-
出典：ZEUS Scooters GmbH
走行可能エリアは、クアラルンプールであれば、市街地の一部であり、これもアプリで確認することができる。
ヘルメットの貸し出しはない
ヘルメットを着用することが推奨されているが、ヘルメットは貸し出されてはいない。当然、短期旅行者がヘルメットを持参しているわけでもないので、転倒時のリスクは考えた上で利用することになる。保険は用意されている。
アプリ表示場所に車両がないことも
アプリで示される車両の場所まで行ってみると、そこに車両がないということが時々あった。数分掛けて車両のある場所まで歩いていってもないなら、最初から目的地まで徒歩で直接向かった方が早かったかもしれない、などということにもなりかねないのでここは改善してもらいたいところである。
プリペイドSIMでアカウント作成するときは注意が必要
ZEUSアカウントに登録している電話番号を変更することはできない。電話番号自体がアカウントのID(主キー)になっているからであろう。利用する電話番号を変更したい場合は、ZEUSのアカウントを削除し、新しい電話番号でZEUSのアカウントを新規作成することになるということはBeamと同じである。
一般的にプリペイドSIMというのは有効期限が過ぎると、一定期間経たのちに、新たなSIMカードにその電話番号が割り当てられ、販売される。つまり、自分が使っていた電話番号は新たな持ち主に渡る。マレーシアのhotlinkの有効期限は延長することも可能である。
ZEUSアカウントはSMSによる認証であり(電話番号を入力するとSMSでワンタイムパスワードが送られてきて、それを入力するとログインできる)、自分でパスワードを設定することはできないため、別の人に電話番号が渡ってしまうとその人が自分のZEUSアカウントを使用できることになってしまう。過去の走行履歴が見れるのでプライバシーが漏れてしまい、また、アカウントにチャージされているお金で勝手にZEUSを使うことができてしまう。
ZEUSアカウントの削除は、自分でログインして削除するか、ZEUS側に連絡をすることでやってもらえる。ZEUS側に連絡すればチャージ済み金額を新しいアカウントに移行してもらえる。
マレーシアから離れるときに再訪問する予定がないならZEUSアカウントを削除しておくか、日本の電話番号にひとまず移行しておくかが選択肢となる。
総評
クアラルンプールにはシェアサイクルはないようであり、その代わりに電動キックボードが普及している。電車、バスも発達はしているが、昼間の時間帯は本数が多くは無い。ZEUSの料金は高くはないので500m程度の距離を移動したい場合には便利に使える。ただし、最初にアプリのダウンロードやアカウント作成、チャージを行うので、それが面倒でなければ良い。車体の安定性はBeamよりも高いので走行時の快適性を求めるならZEUSをお勧めする。
リブエア