検証日:2020年7月下旬
検証結果:株式会社ポケットチェンジより、中国の居民身分証か中国の銀行口座で実名認証されていないとWeChat Payへのチャージができないとアナウンスされている。中国に銀行口座を持っている筆者(日本人)はチャージができた。
今回は、できるできないがコロコロと変わるポケットチェンジ(Pocket Change)でのWeChat Pay(微信支付)へのチャージについて、最新の状況を確認してみた。
- ポケットチェンジとは
- 日本人がWeChat(微信)を利用するときの制限
- ポケットチェンジでWeChat Pay(微信支付)に交換してみた
- ポケットチェンジのレート
- 日本人がポケットチェンジでWeChat Pay(微信支付)に交換するメリットは?
ポケットチェンジとは
ポケットチェンジとは、外国貨幣および日本円を電子マネーやギフトコードに交換してくれるサービスである。電子マネー・ギフトコードは日本をはじめとしたいくつかの国のものに対応している。利用が想定されるシーンとしては、例えば、日本人が海外から帰国した際に余った外国の現金を空港に設置してあるポケットチェンジのマシンで日本の交通系電子マネーに交換したり、日本に旅行した外国人が帰国の際に日本の現金を自国の電子マネーに交換することであろう。ただ、日本人が中国に渡航する際にWeChat Pay(微信支付)を使うために日本の空港でポケットチェンジを使って日本円からWeChat Payへチャージすることもよく行われていた。ちなみに、Alipay(支付宝)へチャージするサービスは提供されていない。
対応している交換元通貨と交換先の電子マネー・ギフトコードの最新情報は公式ホームページを参照されたい。
ポケットチェンジのマシンは、日本の空港や訪日外国人が訪れそうな場所に設置してある。設置場所についても公式ホームページに掲載されている。日本国外では唯一、台湾の桃園国際空港に設置されているようである(検証日時点)。
公式ホームページ
> https://www.pocket-change.jp/
日本人がWeChat(微信)を利用するときの制限
WeChat(微信)を利用するには実名認証(实名认证)というステップが必要であるが、これを中国の居民身分証(居民身份证)ではなく国際クレジットカードで行っている場合、筆者の体験上(過去記事を参照)、以下のような制限がある。
- 中国の観光地では身分証明を求められることが多いが、その際、WeChatで身分証明を電子的に行うことができない場合がある(そのときは有人カウンターでパスポートを提示する)
- 中国以外のWeChat Payが導入されている国でWeChat Payを利用することができない
また、本記事投稿時点で、ポケットチェンジでのチャージに対しては以下の制限がアナウンスされていた。少し長いが、ポケットチェンジの公式ホームページから引用しておく。
【再開】WeChat Payへの交換を再開しましたが、多くの日本人の方は今後お受け取りが出来ません(※2019/7/29追記)
サービス再開のご報告
2019/07/29 15時00分にWeChat Payへの交換サービスを再開致したことをご報告致します。
タイトルにもございます通り、こちらは、現時点では、中国の居民身分証や中国国内の銀行口座の登録で実名認証を行ったお客様向けとなります。
詳細については、下記をご確認くださいますようお願い申し上げます。はじめに
2019/07/05から、ポケットチェンジで発行したWeChat Payのコードの受取時に、「実名認証が未了」とのエラーが発生するというご指摘を多く頂き、現在一時的に停止しています。
ポケットチェンジによるWeChat Payへの交換は間もなく再開しますが、多くの日本人のお客様は再開後も当面はWeChat Payの受け取りが出来ない見込みです。
問題の原因
WeChat Payは以前から、ご利用の前に実名認証を完了させたアカウントでのみ受け取りが可能でしたが、今回WeChatにおいて、国際クレジットカードの登録が実名認証とみなされなくなったことが原因と考えられます。
日本人の多くのWeChat Pay利用者は国際クレジットカードの登録を以って実名認証とされていたと理解しておりますが、国際クレジットカードの登録で実名認証を行ったお客様は、過去に実名認証を完了させ、既にWeChat Payの利用歴・残高をお持ちであっても、ポケットチェンジからの受け取りが出来ない状況です。
※中国の居民身分証や、中国国内の銀行口座の登録で実名認証を行ったお客様は、変わらず受け取りが可能です。
引用:ポケットチェンジ公式ホームページ
つまり、これが検証日時点でのポケットチェンジでWeChat Payへ交換できる人の条件ということになる。
ポケットチェンジでWeChat Pay(微信支付)に交換してみた
前提として筆者は中国の銀行口座でWeChat(微信)に実名認証している日本人であり、中国の居民身分証はもっていない。中国で口座開設したときの体験記事は以下を参照。
さて、作業は、ポケットチェンジ(マシン)での作業とWeChatアプリでの作業の二段階となる。
まずは、ポケットチェンジでの作業から始める。
最初の画面はこのようになっているので、「スタート」をタップして次へ進む。画面の表示言語は、日本語、English、简体字、繁體字、한국어に対応している。
交換先として画面左側のメニューから「中国」を選択すると、中国向けのサービスが出てくる。WeChat Payは「微信支付」を選択する。
次の画面では、前述の公式ホームページでアナウンスされている内容が表示された。二ヶ所にチェックを入れ、「確定」をタップする。画面内のアナウンスによると、最小で1元、最大で2,000元まで交換可能なようである。
現金を投入する。今回は100円(日本円)を入れた。複数の通貨を同時に投入でき、例えば、日本円とユーロのコインをごちゃ混ぜに投入して良い。
投入口は画面下にある(画像の赤枠部)。
現金を投入し終わったら「次へ」をタップする。
レートの確認画面が表示される。今回は100円で5.80元であった。
「確定」をタップするとレシートが印刷される。
必ずレシートを受け取る。
マシンでの操作はこれで終わりだが、WeChat Payへのチャージはまだ終わっていない。次はWeChatアプリでの作業である。
WeChat Payへのチャージ方法はレシートにも記載されているので、その手順通りにやれば良い。
まずは、WeChatアプリを立ち上げ、スキャン機能でレシートの「払い出しURL:」の下のQRコードをスキャンする。すると、以下の画面が表示される。
「同意」をタップする。
国籍、パスポート番号、名前、メールアドレスを入力し、「OK」をタップする。
メールで”Confirmation Code”を送信した旨が表示される。
メールを受信して4桁の番号を”Confirmation Code”欄に入力し、「Confirm」をタップする。
「OK」をタップする。
「同意」をタップする。
アクセスは「許可」をタップする。
成功したようである。
WeChat Payのチャージ金額を確認してみると、確かに5.80元になっていた(もとのチャージ金額は0元)。
検証日時点では、ポケットチェンジの公式ホームページでアナウンスされている通り、中国の銀行口座で実名認証していれば日本人でもポケットチェンジでWeChat Payにチャージできることが確かめられた。
ポケットチェンジのレート
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表している為替では、検証日の人民元(CNY)のTTSでは100円が6.39元であった。ポケットチェンジでは前述のとおり5.80元に交換されたので、手数料は発生しないもののレートとしてはあまり良くない。ポケットチェンジでのレートはマシンの画面で確認することはできる。
日本人がポケットチェンジでWeChat Pay(微信支付)に交換するメリットは?
検証日時点では、メリットになるケースはかなり限定的だと思われる。
ポケットチェンジでWeChat Payにチャージできる日本人は中国の銀行口座を持っている人になるが、その人はチャージせずとも銀行口座からWeChat Payの支払いができる。WeChat PayのWalletとして予めチャージしておく必要性はないだろう。あるとすれば、一時的に銀行口座がオンラインで使用できないといった限定的なケースか。中国で仕事をしている日本人駐在員が日本訪問を終え中国に帰国する際に余った日本円を人民元に交換してしまいたいケースならあるかもしれない(両替所はコインを受け付けてくれない場合が多い)。
また、中国の銀行口座を持たない日本人であっても、2019年11月からは、日本のクレジットカードでWeChat Payにチャージができるようになった。従って、ポケットチェンジでWeChat Payにチャージできなくてもチャージ手段がある。
以上から、通常は日本在住の日本人がポケットチェンジでWeChat Payに交換する必要はないだろう。
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記事中で、”検証日時点”がよく出てきているのは、ポケットチェンジによるWeChat Payへの交換可否の条件は数ヶ月程度で変わってしまうことがあるので(WeChat側に起因することのようですが)、注意喚起として記述させてもらいました。