電熱グローブをUSBモバイルバッテリーで使ってみた

投稿日:2021年3月11日
更新日:

検証日:2021年3月上旬

検証結果:45W出力のUSBモバイルバッテリーを用いれば電熱グローブを使用することはできたが、20,000mAhの大容量USBモバイルバッテリーを使用しても丸1日はもたない。(後日、別検証あり【2022年1月15日追記】)

真冬にバイクに乗ると寒い。特に、高速道路では手の感覚が無くなってしまうほど寒い。新東名の120km/h区間を120km/hで走行したときなどは指先の感覚がなくなり、身の危険を感じるほどである。

そこで登場するのが、電熱系アイテムである。今回は電熱グローブを取り上げたいと思う。

なぜ電熱グローブをUSBモバイルバッテリーで試すのか?

GK-804とUSBモバイルバッテリー

バイク用の電熱グローブへの給電方法は主に以下の2タイプある。

  • バイクのバッテリーから確保する
  • 専用のモバイルバッテリーを使用する

専用のモバイルバッテリーはグローブの中にバッテリーを収納するものが主流で手首あたりが膨らみ、少しうっとおしくなるのとバッテリーの大きさを抑えるためか大容量ではないため長時間はもたないというデメリットがある。一方で、バッテリーから給電する場合は、他の電熱系アイテムも多数同時使用することでバッテリーがあがってしまう懸念があったり、レンタルバイクなどの自分のバイクではない場合にはそもそも選択肢から外れる。

今回は、バッテリー給電のようにバイクをいじることなく、かつ、専用のモバイルバッテリーよりも発熱時間を長くするために、一般的に出回っている大容量のUSBモバイルバッテリーで電熱グローブを使ってみることにした。

USBモバイルバッテリーで使用するために必要なもの

以下のものを用意した。

  • 電熱グローブ … KOMINE社 GK-804
  • シガープラグ給電 … KOMINE社 EK-208
  • シガーソケット-USB変換ケーブル … Saiteng社 Sisyphy CA1
  • USBモバイルバッテリー … RAVPOWER社 RP-PB201JP
  • 結束バンド … 100円ショップで売っているようなもの

KOMINE社のシガープラグ給電EK-208はバイクのバッテリーから電源を取られたシガーソケットで使用することを想定したものであるが、バイクのバッテリーからではなく、市販のUSBモバイルバッテリーから電力を得ようとするのが今回の検証内容である。

以下に楽天、Amazonのリンクを載せておく。

【検証結果】使えたが4時間しかもたなかった

電熱グローブとシガープラグ給電とシガーソケット-USB変換ケーブルとUSBモバイルバッテリーをすべて接続し、バイクで走行してみた。

電熱グローブGK-804には、Turbo(約70℃)、High(約50℃)、Low(約30℃)の三段階で温度調整ができるが、今回はHigh(約50℃)で検証した。Low(約30℃)は真冬でも一般道を晴れの日の昼間に走行する分には良いが、発熱温度が低いので、筆者の経験上、曇りの日や高速道路ではあまり暖かさを感じない。逆にTurbo(約70℃)は低温やけどのおそれがあるため長時間の使用には向かない。

検証結果は、専用モバイルバッテリーを使用した場合と同程度の発熱を感じたが、時間としては4時間10分程度しかもたなかった。スマホ4回分ぐらいはフル充電できるほどの大容量のバッテリーを使用したのに短いというのが筆者の第一印象であったが、よくよく調べてみると、大体この程度の時間なのかもしれない。これは後述する。

また、KOMINE社のシガープラグ給電EK-208自体に次の2つの課題があるように感じた。

ケーブルの取り回しが面倒である。シガープラグ給電EK-208は両手のグローブそれぞれに接続するためケーブルが二股になっているが、それぞれのケーブルをジャケットの腕部分に通してジャケットを着るのが面倒である。さらに、一旦、グローブとの接続を外した場合、体を少し動かすとケーブルが腕の中に引っ込んでしまいケーブルの先端を腕から出すことが出来なくなってしまうので、腕に通したケーブルが引っ込んでしまわないように指で摘まんでおくことになる。今回の検証のケースでは対策として、ジャケットにケーブルを入れずにUSBモバイルバッテリーやシガープラグ給電はすべてタンクバッグに入れてしまい、電熱グローブとタンクバッグから出したケーブルとを接続することで煩わしさは解消されたが、ケーブルをタンクバッグにしまい過ぎるとグローブと接続されているので腕が動かせる範囲が制限されてしまい危険なので、ある程度タンクバッグからケーブルを出しておく必要がある。バッテリー給電のシガーソケットに差し込んで使用する場合でジャケットにケーブルを通さないのであれば、ケーブルは束ねてハンドルバーあたりに縛っておくのが良いかもしれない。

走行中に電源が切れてしまう。これは、走行時の振動により、シガープラグ部分の接続がきれてしまうためと思われる。手で揺らしてみるとグラグラ揺れ、通電ランプが消えてしまう。そこで、シガープラグに以下の写真のように結束バンドを挟んで固定してみたところ、走行中に電源が切れる現象は発生しなくなった。

EK-208を結束バンドで固定

【考察】専用バッテリーを複数もったほうが良い?!

今回使用したRAVPOWER社のUSBモバイルバッテリーRP-PB201JPの電力量は、仕様では72.6Whとされているが、実際に消費されたのは、電流電圧チェッカーで測定したところ約66Whであった。電流電圧チェッカーはUSBに差し込んで測る以下のものを使用した。

仕様と実測の差は、バッテリー容量の個体差・誤差、あるいは、バッテリーから出力された直後の変換などによる消費で失われた分と思われる。

電熱グローブGK-804の専用バッテリーEK-207は7.4Vで2,100mAhのバッテリーが片手ずつで合計2個ある。

この専用バッテリーの合計の電力量は、

7.4[V] × 2100[mAh] × 2[個]

で約31Whとなる。今回の計測結果の電力量である66Whはこの約2.1倍程度となる。

KOMINE社によると、専用バッテリーEK-207を使用した場合の電熱グローブGK-804の発熱時間は、Turbo(約70℃)が120分、High(約50℃)が160分、Low(約30℃)が210分とされている。

EK-207を使用したGK-804の発熱時間
出典:KOMINE社 GK-804パッケージ

今回検証したHigh(約50℃)のカタログ値である160分の2.1倍で約330分、約5時間半もちそうという見積りになるが実際は前述のとおり約4時間10分で、5時間半の約75%となったのは、シガープラグ給電EK-208のケーブルによる消費、シガーソケット-USB変換ケーブルによる消費、それらの接続による変換での消費が考えられる。これは一般的に、モバイルバッテリーの電力は100%が使用できるわけではなく、スマホなどの出力対象物に到達するまでのケーブルなどで消費されてしまうという事情からの推定である。

いずれにしても真冬の一日ツーリングでは倍の時間、つまり8時間ぐらいはもって欲しく、そうなると今回使用したUSBモバイルバッテリーの倍の40,000mAh/140Wh程度のものを用意することになるが、この規模の電力量のモバイルバッテリーをAmazonで検索すると、重いし大きいものしかなさそうである。

専用バッテリーEK-207を3組(6個)ぐらい用意したほうが配線もなく(厳密にはグローブの中でケーブルを接続するが)、重量、容積の面でも身軽であろう。ただし、走行中にバッテリーがなくなった場合はどこかで駐車して交換することになるので、高速道路を走行中にバッテリーがなくなってしまった場合は近くのパーキングエリア・サービスエリアまでは耐えるしかないだろう。

また、最大18W出力のUSBモバイルバッテリーでも試したところ、片手分であれば使用できたが、もう片方の電熱グローブの電源を入れようとすると、両方の電源が落ちた。12Vの電圧には対応しているモバイルバッテリーであったが18Wでは電力が足りないようだ。RAVPOWER社のUSBモバイルバッテリーRP-PB201JPは12Vで3A、15Vで3A、つまり、45W出力に対応している。

【2021年11月21日追記】2021年度も寒い季節がやってきた。本記事は2021年9月頃からアクセスが増え始め、特に気温の低い日にアクセス数が多くなるようである。今年度の冬はもう少し容量の大きいモバイルバッテリーで試してみる予定である。結果が出たらこの記事で報告したいと思う。

【2021年12月6日追記】別のUSBモバイルバッテリーでも試してみた(以下のもの)。残念ながら前回の検証よりも容量の小さい19,200mAh(71.04Wh)のUSBモバイルバッテリーでの検証となった。

結果であるが、High(約50℃)の設定で3時間35分しかもたなかった。このときの消費電力量が約55Whだったので、前回同様にUSBモバイルバッテリーの公称値よりも小さい。また、今回の検証で、前述の電流電圧チェッカーが15V、2.1Aまで達していたため、最低でもこの出力ができるUSBモバイルバッテリーが必要ということが分かった(前述の18Wでは足りていない)。

【2022年1月11日追記】専用バッテリーEK-207を使用したところ、High(約50℃)の設定で片方が3時間35分、もう片方が3時間42分持続した。メーカー公称値は前述の通り160分(2時間40分)なのでそれよりも随分持続したことになるが、これは室内(室温約21℃)で計測したため、真冬での実際の走行ではもう少し短いと思われる。それよりもここで注目したいのは、左右での時間差であろう。同じ型のバッテリーを使用して7分ほどの差が出たので、持続時間はバッテリーの状態やグローブの個体差にも影響されるということであろう。

別解!専用変換ケーブルが発売された【2022年1月15日追記】

前述の通り、本検証はKOMINE社の電熱グローブで試した。専用のシガーソケット型給電EK-208が販売されているのでそれを使用したが、最近になって、USBから電熱グローブのプラグへ直接給電できる変換ケーブルが発売された。以下のものである。

7.4V USB変換給電ケーブル  …  KOMINE社 EK-315

USBモバイルバッテリー(2.1AまたはQC3.0での出力が必要)でも使用できると謳っているものである。

これを使用すると、電熱グローブ+給電ケーブル+モバイルバッテリーという前述のシガープラグ給電方式よりもすっきりした構成になる。早速、購入して試してみた。使用するモバイルバッテリーは前述の方法で試した、以下のAnker社の以下のものである。

まずは、給電ケーブルEK-315を左右それぞれのグローブのプラグに指す。そして、USB端子側をモバイルバッテリーに指す。最後に電熱グローブの電源を入れる。

Anker PowerCore III 19200にKOMINE EK-315を二つ挿したところ

しかし、1つ目のグローブの電源は正常に入ったが、2つ目のグローブの電源を入れたところで両方のグローブの電源が落ちた。これは前述のシガープラグ給電方式にて出力の弱いモバイルバッテリーで試したときと同じ現象である。今回試しているAnker PowerCore III 19200の仕様を確認したところ、USB Type-Aでの給電は、5Vで1ポートの最大が2.4A、二つの合計で3Aとのことである。一方で、給電ケーブルEK-315は2.1AまたはQC3.0の給電が要求される。従って、Anker PowerCore III 19200では二つ同時には使用できないことになる。仕方がないので、片側の電熱グローブだけで検証することにした。

結果は、High(約50℃)の設定で10時間47分持続した(ただし室内での計測)。19,200mAhの半分程度の10,000mAhのモバイルバッテリーだと5~6時間と言ったところか。Anker PowerCore III 19200よりも小型で軽量となるであろう10,000mAhのモバイルバッテリーを二つ用意してそれぞれの腕用に使い(バッテリーはジャケットの内ポケットなどにしまう)、日中の日が出ている間は電源をOFFまたはLOW(30℃)にすれば、なんとか丸一日のツーリングでも持つかというところだ。専用バッテリーEK-207を3組(6個)持ち歩くよりは荷物の面でも、費用の面(EK-207は1個で3千円ほど)でも良いだろう。

前回の検証で、同じモバイルバッテリー(Anker PowerCore III 19200)でシガープラグ給電方式だと約3時間半だったので、片側だけとはいえ、11時間弱使えたということは、筆者が試したシガープラグ給電方式は電流のロスが多いということであろうか。

【2022年1月21日追記】USB Type-Aの2ポートを同時に2.1A以上出力できるモバイルバッテリーを見つけたので試してみた。以下のAnker社のモバイルバッテリーである。

結果は、High(約50℃)の設定で7時間40分持続した(ただし室内での計測)。 もちろん、両手である。これなら何とか1日のツーリングを乗り切れるかもしれない。

【2022年2月2日追記】前述のUSB変換給電ケーブルEK-315、Anker社PowerCore 26800で実際に外で使ってみた。1月下旬、晴れ、最高気温7℃。8時から18時までのツーリングで基本はHigh(50℃)の設定で日中の2時間程度の街中だけLow(30℃)にして走行。途中、お昼や休憩などで未使用時間が合計3時間程度あったが、モバイルバッテリーの電気量は1/4以上残った。また、ジャケットの内ポケットにモバイルバッテリーを入れて使っていたが、これも邪魔に感じることはなかった。冬用ジャケットはもともとタイトに着こなさないからだろう。長時間高速道路を走行するときはTurbo(70℃)の設定にした方が良さそうだが、そうすると無論モバイルバッテリーの持ち時間は少なくなる。今回は制限速度70km/hの自動車専用道路をHigh(50℃)設定で走行したが、寒かった。ただし、Turboにしても寒いだろうから、暖を取る目的ではなく、指先のかじかみ防止程度に考えておいた方が良い。これはモバイルバッテリーで電熱グローブを使用する場合に限ったことではない。USBモバイルバッテリーで電熱グローブを使用する場合、現時点での結論としては、以下の構成がベストだと感じた。

  • 電熱グローブ … KOMINE社 GK-804
  • 7.4V USB変換給電ケーブル  … KOMINE社 EK-315
  • USBモバイルバッテリー … Anker社PowerCore 26800

【2022年2月20日追記】上記のUSBモバイルバッテリーで電熱グローブを使う際は、USB変換給電ケーブルで電熱グローブとUSBモバイルバッテリーを接続しただけだと電熱グローブの電源が入らないようである。USB変換給電ケーブルをUSBモバイルバッテリーに接続する前にUSBモバイルバッテリーの電池残量ボタンを押して残量のLEDを光らせてからケーブルをUSBモバイルバッテリーに差し込む必要があるようだ。

Anker PowerCore 26800の電池残量LEDを光らせたところ

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KOMINE社のシガープラグ給電EK-208は”12V車専用”、”車体バッテリーからの給電を可能にするシガープラグ付き給電ケーブル”とされているため、車両のバッテリーからの給電のみを保証している可能性があり、さらに今回は結束バンドを隙間に挟んでいることから、今回のような使用は保証外となる可能性が高いと思われたので故障・事故があっても自己責任となる認識で実施しました。

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旅好きが旅にまつわるデジタルライフをゆるめにお届けする場所です。執筆者はひと月に最低1度は海外に出掛け、現地の路地裏をウロチョロしています。

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