検証日:2021年11月中旬
検証結果:走行中のバランスは不安定。バッテリー容量の面から、近場の移動は問題ないが、石垣島の観光名所を巡るのは無理である。
以前、石垣島で電動キックボードRimoを試乗し、レビューした。
石垣島には他にも電動キックボードのレンタルサービスがあり、そのうちの一つがPapitである。今回は、そのPapitの試乗レビュー記事である。
Papit公式ホームページ
> https://papit.pation.work/index.html
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貸し出し場所・事業者
Papitのホームページによると、本記事投稿日時点で、石垣島、小浜島、沖縄本島、熊本県に貸し出しを行っている事業者があるようだ。今回、筆者はその中の一つのホテルパティーナ石垣島にてレンタルした。
石垣島におけるPapitの貸出拠点
利用料金は貸し出し事業者ごとに異なるが、ホテルパティーナ石垣島では宿泊客は無料で利用できる(チェックアウト後だと有料になるとのこと)。新型コロナウイルスの影響か、空きも十分にあるようで、予約なしで借りることができた。
シートあり・なしの2タイプがある
シートあり、なしの2タイプの車種があり、ホテルパティーナ石垣島でも2タイプの車両のレンタルが可能であった。どちらの車両にも500mlのペットボトル2~3本が入りそうなチャック付きのカゴが取り付けられていたが、Papitのホームページに掲載されている車両の写真にはカゴがないので、ホテルパティーナ石垣島独自に取り付けたカゴなのかもしれない。
法的には原動機付自転車
Papitは道路運送車両法上は原動機付自転車になるため、公道での走行は原動機付自転車のルールが適用される。必要な免許も、原付免許、普通自動車免許などの原動機付自転車を運転できる免許が必要となる。
●原動機付自転車と同じ扱いですので、走行できるのは車道だけです。歩道は走行できませんので、歩道はキーをOFFにしてからPapitを押して移動してください。
引用元:Papitホームページ「取扱説明」
https://papit.pation.work/10manual.html
最高速度30km/hを出す能力があるため、以前の記事で紹介したRimoとは違い、車両に対する保安基準も緩和されない。ヘルメットの着用も義務である。2022年4月19日に衆議院本会議で可決・成立した改正道路交通法案として新たに設けられる車両区分である特定小型原動機付自転車(最高時速20km/h以下などの条件を満たせば16歳以上で免許不要で走行できるなどの条件が緩和される車両区分)にも該当しないことになる。
半キャップタイプのヘルメットが無料で借りられる。
任意保険あり、車両補償なし
今回お借りした際の貸渡契約では、対人・対物補償は無制限、搭乗者傷害補償は1名3,000万円であった。これは、Papitを貸し出している事業者に依存する可能性があるので、貸渡前までに確認しておいたほうが良い。
尚、レンタルした車両では、自賠責保険証明書は車両のボディ部に格納しているとのことだった。
キーを使って電源を入れる
Papitはキーがあり、差し込んで回すと電源が入る。計器モニターには、速度計、走行距離計(オドメーター)、電池残量、方向指示などが表示される。
走行距離は40~50km
公式サイトによると走行距離は平地走行で40~50kmとなるようだ。距離だけで見ると、ホテルパティーナ石垣島から川平湾までの往復ができるのかもしれない(石垣島は起伏があり、坂道を上ることもあるので、実際には帰り道で電欠になるかもしれない)。
今回はホテルパティーナ石垣島から出発してサザンゲートブリッジを渡って南ぬ浜町人工ビーチ駐車場までの往復(2~3km程度)だけしかしなかった。
検証における出発地点から到着地点
最高速度は30km/h
最高速度は30km/hである。実際には急な下り坂ではもう少しスピードが出てしまうであろうが、原動機付自転車の法定速度が30km/hなので、30km/hを超える速度での走行は法律上できない。フルスロットル状態でおよそ30km/hの速度である。また、急な上り坂の場合は、フルスロットルでも減速していってしまう。
道路の段差はかなり拾う
幅の細いスケボーに棒が付いており、それに掴まっているような感覚である。道路の少しの段差でもバランスにかなり影響するので、しっかりとハンドルを握り、背筋に力を入れてバランスを取る必要がある。
ウインカーの消し忘れに注意
ウインカーは通常のバイクのようにハンドル左側にあるスイッチを右または左にスライドさせて出す。ウインカーのカチカチ音(ウインカーリレー音)は鳴らない。無音である。モニターにはウインカーを出していることが分かるようにはなっているが、意外と消し忘れてしまうので、ウインカーを出した時点で消すことも気に留めておかないといけない。
ヘッドライトが暗い
今回は日没付近に走行したのだが、ヘッドライトが運転者にとっては視野の確保にそこまで大きな役割を果たさない。地面の狭い範囲を照らしてくれる程度である。無論、昼間しか走行しない場合は問題ない話である。
交差点での右折待ちが少し怖い
車列の先頭にいて小回り右折する場合、信号が青になったら交差点の真ん中付近まで進み、対向の直進・左折車、横断歩行者・横断自転車が途絶えるのを待つが、これが少し怖い。車両が軽く、バランスが不安定なためか、生身で交差点の真ん中に立っているような感じである。
尚、石垣島内には二段階右折する道路はなく、右折時はすべて小回り右折になるようだ(検証日時点)。
※石垣島には二段階右折する道路はありません
引用元:Papitホームページ「取扱説明」
https://papit.pation.work/10manual.html
駐輪時にアースロックがほぼできない
ワイヤーロックを使ってアースロックをすることで車両から離れている間の盗難対策をすることになるが、駐車場・駐輪場にそう都合よくアースロックできるものはない。Rimoと違いカギがないと電源は入らないが、それでも筆者は駐車場にポツンと電動キックボードを置いていくのは誰かが持ち去らないか心配でできなかった。
ホテルのスタッフの方によると、石垣島でPapitの貸出を行っている事業者が少ないので盗まれて島内で使用されていてもどこの車両かはすぐに分かるということだったが、島外に持ち出されたら??という疑問は湧いた。
総評
貸し出し場所近くで走行練習をしてから目的地へ向かうことを勧めたい。また、貸し出し場所から数kmの範囲の平坦な道路を走行して楽しむのなら良いが、島内の観光スポットを巡る脚としては使えないだろう。