シンガポールのバスの乗り方

投稿日:2022年7月5日
更新日:

シンガポールのバス

今回はシンガポールのバスの乗り方を解説する記事である。前提としては短期旅行者である(長期滞在のビザがある人だと運賃の支払い方法が若干増えるため)。

路線図

全体の路線を描いたものはLTA(陸上交通庁、シンガポールの交通関係行政機関)からは出されていないようである。描くとごちゃごちゃになり訳が分からなくなるからだろう。電車に関しては路線図は出されている。

Googleマップで経路検索するのが手っ取り早い。

乗車の流れ

シンガポールのバスに乗る手順としては、以下である。

  1. 運賃支払い媒体を用意し、バス停で待つ
  2. 乗りたいバスが来たら手を上げて乗る意思を示す
  3. 前のドアから乗車し、機械に運賃支払い媒体をタッチ
  4. 椅子に座るなり、手すりに摑まるなりして目的のバス停まで待つ
  5. 目的のバス停が近づいたらボタンで知らせる
  6. バスが停車したら後ろのドア付近にある機械に運賃支払い媒体をタッチし、降車する
バス前方から入る。機械(赤枠)に運賃支払い媒体をタップする。
後方の扉から出る。機械(赤枠)に運賃支払い媒体をタップする。

バス内で、次のバス停の表示やアナウンスは無いと思っていた方が良い(バスやバス停に依るが、大抵は無いので)。降りたいバス停に近づいているかどうかはGoogleマップで確認しているとよい。

以下で、運賃の支払い媒体としてどのようなものがあるのか、対応しているのかを具体的に説明するが、結論を言ってしまうと、電車の支払い方法に現金による支払い方法が加わっただけである。電車の乗り方については以下を参照されたい。

運賃支払い方法

運賃支払い媒体としては多くのものが提供されている。

1日乗車券購入による乗車

シンガポール・ツーリスト・パス(Singapore Tourist Pass)である。バスと電車(MRT/LRT)が乗り放題となり、

1日券:20 SGD
2日券:26 SGD
3日券:30 SGD

である。ただし、上記の内の10SGDはデポジットであり、カードを返却すれば戻ってくる。

駅(電車)のチケットオフィスで売られている。”Ticket Office”であり、改札機横にある”Passenger Service”ではない。日本のJRでいうところのみどりの窓口と改札窓口の違いであろうか。頻繁に電車、バスに乗ることが見込まれる場合はこれを買った方が得だが、チケットオフィスは営業時間が限られているので、滞在中で初めて電車に乗るときにうまく営業時間と合っているのが良い。返却してデポジットを受け取るのもチケットオフィスであるが、チャンギ空港に電車で着いたときにはもうチケットオフィスが閉まっていたということにならないように注意が必要である。

電車は乗るつもりがない人にとっては、わざわざ駅まで行くのは面倒であろう。さらに、バスの運賃は安いため、バスしか乗らないなら購入金額分の元が取れない可能性が高い。

使い方は、乗車時、降車時にそれぞれ乗車券(カード)をバスの扉付近にある機械にタッチすればよい。

EZ-Linkカードによる乗車

EZ-Linkカード

EZ-Linkは日本のSUICAのような存在である。駅(電車)のチケットオフィスの他、コンビニ等でもEZ-Linkカードを購入することができる。このカードをバス内の機械にタッチしてすれば良い。反応速度としては、筆者の体感だが、SUICAよりは遅く、タッチしてから改札機から音が鳴るまで一呼吸ある(以降で説明する支払い媒体すべて同じ)。NFCリーダーアプリで調べたところ、通信規格はNFC Type-Bのようである。

バスだけでなく、電車や買い物でも利用することができる。

チャージは駅の自動券売機、チケットオフィス、セブンイレブンでできる。カードには有効期限があり、それを過ぎると使用できなくなるが、新しいカードを購入して古いカードの残高を新しいカードへ移行することができる。これは駅のチケットオフィスでやってくれる。筆者はコロナで2年以上シンガポールに行っていなかった間に持っていたEZ-Linkカードの有効期限が切れてしまい、まだ残高があったので、新しいカードを用意してそちらに移してもらった。

プリペイドSIMカードとセットとなって販売されているケースもある。SIMを外した側がEZ-Linkカードになっている。

SingTelのプリペイドSIMにEZ-Linkカードが付いたパッケージ

EZ-LinkカードはEZ-Linkアプリを使うことでカードの有効期限、チャージ残高、利用履歴を確認することができる。アプリからチャージするにはシンガポールで発行されたクレジットカード/デビットカードか、シンガポールの銀行口座が必要である。

出典:EZ-Link Pte Ltd

シンガポールに来たならば、EZ-Linkカードか次に紹介するNETS FlashPayカードのどちらかは買っておいてもよいだろう。

以前はSIMカード自体にEZ-Linkが埋め込まれ、スマホのタッチで乗車できるEZ-Link NFCというものもあったが、既に提供されていないようである。

EZ-Link App

Google Play で手に入れよう Download on the App Store

NETS FlashPayカードによる乗車

NETS FlashPayカード
NETS FlashPayカード

NETS FlashPayも日本のSUICAのような存在であり、バス以外での支払いにも使える。スマホアプリNETS Appを使えば、スマホからクレジットカードを使ってチャージすることもできる。日本で発行されたクレジットカードで出来る。

出典:Network for Electronic Transfers (SG) Pte Ltd.

NETS App

Google Play で手に入れよう Download on the App Store

【2023年6月6日追記】2023年6月時点で、日本で発行されたクレジットカードではこのアプリからのチャージはできなくなっているようだ。

Apple Payによる乗車

AppleWatchでのWalletアプリでVISAカードを選択したところ

Apple Payでクレジットカード払いとして乗ることが出来る。媒体はiPhoneでもApple Watchでも良い。支払いに使用できるカードはVISAかMastercardのどちらかであるが、コンタクトレス非対応のカードでも大丈夫なようだ。筆者はANA VISA SUICAカード(コンタクトレス非対応)をApple Payに登録して支払うことができた。日本で発行されたクレジットカードを使用できる。

手数料が掛かる(以降で説明するクレジットカード払いすべて)。1乗車ごとではなくいくつかの乗車のまとまりごとに0.60SGD(本記事投稿日時点でのレートだと日本円で60円弱)が発生するようだ。

エクスプレスカードには対応していない。iPhoneにしろApple Watchにしろ、必ず支払いたいカードが画面に表示された状態にしてから改札機にタッチする必要がある。

Apple Payが使える交通機関
> https://support.apple.com/ja-jp/HT207958

Google Payによる乗車

Google Payで支払いカードを表示したところ

Google Payでクレジットカード払いとして乗ることが出来る。支払いに使用できるカードはVISAかMastercardのどちらかであるが、コンタクトレス非対応のカードでも大丈夫なようだ。筆者はANA VISA SUICAカード(コンタクトレス非対応)をGoogle Payに登録して支払うことができた。

手数料が掛かるのはApple Payと同様にクレジットカード払い全般で同じである。

Google Payアプリを開かなければ、デフォルトに設定している非接触支払いカードで支払われる。シンガポールのバスに限った話ではないが、Google Payの場合はApple Payとは違い、アプリを開かなくても支払い処理ができる分、ステップは1つ少ない。

コンタクトレス対応クレジットカードによる乗車

コンタクトレス対応の楽天カード

コンタクトレス対応のVISAかMastercardであれば、カードを機械にタッチするだけで良い。事前にカード類の購入等は一切なく、ただクレジットカードを取り出して機械にタッチするだけだ。日本で発行されたクレジットカードで問題ない。筆者は楽天カードで試してみたが、問題なく乗車できた。

手数料が掛かるのはApple Payと同様にクレジットカード払い全般で同じである。

au PAYプリペイドカードでも乗れる

au PAYプリペイドカードをApple Payに入れたところ

au PAYプリペイドカード本体はコンタクトレスに非対応であるが、前述の通り、カード本体はコンタクトレス非対応でもApple PayやGoogle Payに対応していればそれらを通してコンタクトレス決済で乗車することができる。au PAYプリペイドカードはMastercardの加盟店であれば支払いすることができ、Apple Payにも対応しているので(Google Payには非対応)、Apple Payにau PAYプリペイドカードを登録することで、MRTに乗車することができる。運賃はau PAYの残高から差し引かれるが、au PAYの履歴から確認できるようになるには10日程度かかるようである。

au PAYアプリから確認した取引履歴(6月6日が利用日になっているが実際の利用日は5月下旬である)

現金による乗車

筆者は試したことがない。また、現金で支払っている人を見たことがない。乗車時に運転手に行先(降りるバス停)を告げて、現金を現金ボックスに入れるようである。運賃は、LTAの公式サイトで調べることが出来るが、カードをかざす方法に比べてステップが多く、場合によっては運転手としっかりとコミュニケーションを取らないといけないので、バスの事情に詳しくない人には難易度が高いだろう。

入退場でApple Watch/iPhone/Google Payの混在の支払いはできるか?

Apple Watchで入場してiPhoneで退場する、Google Payで入場してApple Payで退場するといったことはできるのか ー

結論は、退場時に改札機でエラーになったりはせずに退場はできるが、運賃が多く徴収される。

出典:Land Transport Authority
LTAのホームページにて注意喚起されている

その他の何とかペイ

Samsung Pay、Fitbit Pay、Garmin Pay、GrabPay(GrabPayカードを使う)にも対応しているようであるが、筆者は利用したことがない。

Mobile payment – Apple Pay, Google Pay, Samsung Pay, Fitbit Pay, Garmin Pay, Grab Pay, Singtel Dash
Alternatively, you may also use your mobile device (such as mobile phones and smartwatch) for fare payment, if your device has a mobile wallet such as ApplePay. 

引用元:LTAホームページ
https://www.lta.gov.sg/content/ltagov/en/getting_around/public_transport/plan_your_journey.html#paying_for_your_ride

QRコード決済には非対応

前述のバスの機械の写真を見ていただくとQRコードを読み取るようなカメラは無いことから分かる通り、QRコードによる決済には対応していない。

TL SimplyGoアプリ

クレジットカード払い(Google PayやApple Payも含む)では降車する際に、掛かった運賃が表示されない(EZ-linkやNETS FlashPayでは表示される)。しかし、TL SimplyGoアプリを使うことで、

  • 乗車したバス停とその日時
  • 降車したバス停とその日時
  • 掛かった運賃

が分かるようにされている。これがカードごとに分かる。クレジットカードだけでなくEZ-linkカードやNETS FlashPayカードに対しても分かるようになる。そのためにはアカウントを作成し、アカウントにカードを登録する。アカウント作成は必須ではなく、また、カードの登録も必須ではない。TL SimplyGoアプリのインストールも必須ではない。利用履歴が不要な人には不要だろう。

TransitLink SimplyGo

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運賃は日本に比べると少し安い

料金は以下で計算できる。本記事投稿日時点での為替を考慮すると、日本の6~7割程度の額といったところか。

> LTA | Fare Calculator
https://www.lta.gov.sg/content/ltagov/en/map/fare-calculator.html

Googleマップの経路検索に出てくる

Googleマップでシンガポールの目的地の経路検索をすると、電車、バスともに経路として出てくるので、Googleマップはちゃんと機能する。

MyTransport.SGアプリでバスの到着時間を確認できる

MyTransport.SGというLTA公式アプリを使ってバス停で待っているバスの到着時間を確認することができる。

MyTransport.SG

Google Play で手に入れよう Download on the App Store

Googleマップでバス停、バスの番号を調べる⇒バス停へ向かう⇒バス停で所望のバス番号のバスがあとどれぐらいで着くかをこのアプリで確認しながら待つ

といった使い方を筆者はしている。

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旅好きが旅にまつわるデジタルライフをゆるめにお届けする場所です。執筆者はひと月に最低1度は海外に出掛け、現地の路地裏をウロチョロしています。

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