【外伝】利用しないほうがよいレンタルバイク店

投稿日:2021年4月17日
更新日:

レンタルバイク

これまで多くのレンタルバイク店でバイクをレンタルしてきた筆者の経験から、こんな店舗でレンタルするのはやめておいた方が良いという事柄を列挙してみた。店舗の実名を公表する記事ではない。

任意保険の補償額が低い

一般的に、自動車(自動二輪車を含む)・原動機付自転車には自動車損害賠償責任保険(通称、自賠責。法律上、加入がMUST)と任意保険(法律上、加入はWANT)があることはご存じであろう。対人補償しかない自賠責保険では不十分なので任意保険にも加入し、対物補償や運転者自身の補償もカバーしておくのが一般的だろう。

対応できる保険
他人を死傷させたときの賠償自賠責保険
任意保険
他人の物を損傷させたときの賠償任意保険
自分が死傷したときの補償任意保険
自分の車を損傷させたときの補償任意保険

しかし、この任意保険、レンタルバイクを予約するときに内容をよく確かめてもらいたい。対物補償額が低いケースがある。低いとはどの程度かというと、200万円、300万円というあたりである。

総額で億を超える荷物を積載していた大型トラックと物損事故を起こしたとしよう。過失割合としては80(相手):20(自分)だった場合、自分が相手方の損害額の20%を支払うことになるので、相手方の荷物がダメになってしまった場合に自分が支払う額は数千万円ということになる。過失相殺(相手方から支払われる賠償額を差し引いた賠償)しても、対物補償額が200万円、300万円といった任意保険ではスズメの涙ほどにしかならないのである。

加害者(相手方)被害者(自分)
過失割合80%20%
損害額1億円20万円
賠償金額20万円×0.8=16万円1億円×0.2=2,000万円
高額な賠償額の例

(余談だが、過失割合の低い方を被害者、高い方を加害者と呼ぶが、上記の例のように被害者が加害者よりも賠償額が大きいということは起こりえる)

レンタル事業者の任意保険では不十分と感じる場合は自分で任意保険に加入して対人補償、対物補償を付けることもできる。車両を所有していない場合は「ドライバー保険」、車両を所有している場合は自動車保険・バイク保険の「他車運転危険補償特約」である。ただし、「他車運転危険補償特約」については利用したレンタルバイクや二輪車自体が対象とならない保険もある。

いずれにしても、自賠責しか加入しておらず、任意保険には加入していないという状態でのレンタルはやめておいた方がよい。

車両補償がない

車両補償とは、レンタルした車両を損傷させてしまった場合の修理費について、利用客が支払う額に上限を設けるという免責制度である。例えば、修理費が5万円を超える場合は5万円の支払いで良い、といったものである。ただし、有料オプションとして提供される場合が多く、レンタル期間1日につき2,000円などで付ける。この支払う修理費の上限額を免責額と呼んでいる。車両補償がないと、廃車させてしまうような損傷をさせてしまった場合は時価額100%を支払うことになり、つまり、大型バイクだと100万円を超えてくることになる。

立ちゴケした場合、バーエンド、レバー、ウィンカー、フロントフェンダー、ミラー、ステップ、マフラーあたりに傷がつく。これで大型車の場合、修理費として10万円を超えることもある(レンタル事業者によっては少しの傷であれば部品代全額ではなくその一部の支払いとしているケースもあるが)。また、筆者の経験上、レンタルしたバイクに立ちゴケの形跡がない車両の方が少ないので、よく起きることなのだと想像できる。

立ちゴケやUターンゴケなどによる転倒を返却時までにしなかった場合は車両補償は不要だったという結果になるが、初心者ライダーや重量があり、シートが高い車両を体の小さい人がレンタルする場合は危機管理としてあった方が良い制度ではないかと思う。

残念ながら、車両補償のあるドライバー保険は無いのが現状であるため、自前で付けることができない。

自賠責保険証、車検証を携帯させてもらえない

自動車損害賠償責任保険証明書は自動車(自動二輪車も含む)、原動機付自転車を運転する際には携帯しなければならないことが法律で定められている。原本でなければならず、コピー(写し)は不可である。

第八条 自動車は、自動車損害賠償責任保険証明書(中略)を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。

出典:自動車損害賠償保障法

また、自動車(250cc以下の自動二輪車は除く)を運転する際には自動車検査証(車検証)を携帯しなければならないことが法律で定められている。これも原本でなければならない。

第六十六条 自動車は、自動車検査証を備え付け、且つ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。

出典:道路運送車両法

つまり、これら書類のコピーを渡したり、コピーすら渡さないレンタルでは違法な走行をすることになってしまう。これらの規定は道路交通法ではないため、守らなかった場合は違反点数として引かれるというものではなく、各法律で定められた罰則が適用されることになる。

第八十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 第八条(中略)の規定に違反した者

出典:自動車損害賠償保障法

第百九条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
(中略)
 第六十六条第一項(中略)の規定に違反して、自動車検査証若しくは限定自動車検査証を備え付けず、又は検査標章を表示しないで自動車を運行の用に供した者

出典:道路運送車両法

処罰されるのは運転者かレンタル事業者かー

法律で規定された書類を渡さないのであればそれはレンタル事業者に問題があるのではないか、あるいは、最終的には運転者が走行するかどうかの判断を行うので運転者に問題があるのではないか。

これについて某都道府県の警察署に確認してみたところ、このケースについてはすぐには答えられないが運転者の可能性もある、という回答であった。

ただし、実際には警察官にこれらの書類の提示を求められたときにコピー(写し)を見せた場合であっても即逮捕や書類送検とはならないのが慣例のようではある。

これら書類を渡されないことを理由にキャンセルしたら利用者はキャンセル料を支払う必要があるのか ー

レンタル事業者の中にはレンタル当日の数日前からキャンセル料が発生するところもある。レンタル当日の貸渡時になって必要書類を渡してくれなかった場合、その場でキャンセルを申し出たらキャンセル料を支払わなければならないのか。

これについて消費者センターに確認したところ、法律に則った契約ではないため、契約自体に問題があり、キャンセル料の支払いを断る主張をすることができる 支払う義務があるかどうかは一概には言えないがキャンセル料の支払いを要求してくる場合は消費者センターが相談を受ける、とのことであった。(後日、消費者センターから訂正の連絡があったため、記述を変更。2021年5月13日)

レンタル料が相場よりずいぶん安い

多くの店舗でレンタルバイクを利用してきた筆者の経験上、レンタル料が相場よりもずいぶん安いレンタルバイク店の特徴としては以下があった。

  • 前述の任意保険、車両補償、必要書類のいずれかの話に当てはまる
  • 車両の年式が古い
  • 車両の点検・整備が不十分

車両の年式が古いだけであれば法律上も安全上も問題ない。シフトポジションインジケータやシガーソケット(DC電源)、ABS、トラクションコントロールなどの比較的最近装備されるようになった機能が使えないだけである。

車両の点検・整備についてはどうか。錆びていてもそれが見た目だけの問題であれば、写真映えを気にしないのであれば問題ない。しかし、ヘッドライトが付かない、燃料計がおかしいなど、法律上、安全上の問題があったり、利便性で大きく支障が出るような車両では安くてもレンタルしたくはないだろう。灯火類であれば貸し渡し時に利用者側で発見できるだろうが、走行してみないと気づけないような不良、走行してしばらく経たないと顕在化しない不良を貸渡時までに発見するにはどうすれば良いだろうか。レンタル事業者のネームバリュー、大手レンタル事業のネットワークかどうか、長い付き合いで信頼がある、ネットの口コミなどに頼った危機管理が現状だろうが、レンタル料とも相関がありそうだというのが筆者の経験である。安いということは安くないところと比べて何かを削っている、ということなのだろう。

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個人経営の小さなバイク屋さんだと、激安だが融通が利くというメリットもある。筆者は、U字ロックの鍵を強く回したためか鍵の金属部分と樹脂部分が外れてしまったことがあったが、返却時に伝えたところ、「いいよ、こっちで交換しておくから」と言われ、交換代は請求されなかった。経年劣化による可能性もあり、それを考慮しての判断だったのかもしれないが、大手のレンタル事業者だと杓子定規に規定を適用して交換代を支払うことになっていたかもしれないので。

壊れたキー

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新型コロナウイルス感染拡大防止のため、現在、海外渡航は行っておりません。
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