西表島で超小型EV「やまねこイーバ」に乗ってみた

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やまねこイーバの車両

西表島でトヨタの超小型電気自動車COMSがレンタルできる。今回は、やまねこレンタカーのサービス「やまねこイーバ」でCOMSを試乗してみた。

西表島交通株式会社 やまねこイーバ紹介ページ
> https://iriomote.com/top/ev/

車両はミニカー扱い

COMSはミニカーである。最高速度は60km/hで1人乗りとなる。ミニカーの保安基準が適用されるので、ルームミラーがなかったり、ナンバーは後ろだけだったりする。

本記事トップ写真の通り、横のドアはビニール製でチャックで開閉する。したがって、鍵でロックすることはできない。

サイドミラーは手動で調整する。運転席に座ったままでも手は届く。ダッシュボード右側には小物入れ、左側にはドリンクホルダーがある。

COMSのコックピット
COMSのコックピット

当然のようにAT車である。

COMSのペダル類
COMSのペダル類
COMSのシフトレバー
COMSのシフトレバー

ディスプレイには、速度、電気残量、オドメーター/トリップメーター、ギアが表示される。 ハザードがハンドル越しにあるので走行中は押し難い。

COMSのディスプレイ
COMSのメーター類

トランクルームには機内持ち込み用スーツケースが一つ入る程度の大きさである。鍵はかかる。積載重量は90kgまでである。因みに、2021年6月28日に道路交通法が改正され、それまでミニカーの積載量は30kgであったが、トヨタ車体の要望をきっかけに90kgに変更されたという経緯がある。

COMSのトランク
COMSのトランク

走行距離は50km

やまねこイーバでの走行可能距離は50kmとされている。西表島は県道215号が沿岸部を外周のように走っているが(1周はしていない)、端まで行って戻って来るだけの電気量はない。筆者は今回、西表島の大原港近くにあるやまねこレンタカーの営業所にてレンタルしたが、その場合は、県道215号を左回りに白浜港まで行って戻って来るだけの電気量はない。後述するが、貸し出し時間も短いので、自分で充電している暇もない。

今回、筆者は、レンタカー営業所から島を右回りに「1965 ヤマネコ発見の地」へ、左回りに「後良橋ロードパーク」へ行き、営業所へ戻る途中で展望台によってから返却した。それぞれのポイントで少し休憩し、時間としては2時間弱となった。

貸し出し時間は2時間

ホームページには2時間と3時間のプランが掲載されているが、筆者がレンタルしたときは、2時間プランのみが提供されていた。

2時間では島の外周(県道215号)の端から端までは行けない。西表島を観光するには短すぎる時間である。返却後に新たにガソリン車をレンタルすれば観光の続きができるだろうが、それなら最初からガソリン車をレンタルした方が時間的にも費用的にも良い。

やまねこイーバは2時間のレンタルでも大原港から営業所までの送迎(行き、帰り)は無料で付く。

任意保険

やまねこレンタカーのスタッフによると、やまねこイーバの任意保険は以下とのことである。

対人賠償  無制限/1名につき
対物賠償  500万円/1事故につき(免責額0円)
搭乗者傷害 1,000万円/1名につき
車両保険  時価/1事故につき(免責額0円)

対物賠償額が小さいが、西表島で高級車は走行していないだろうから、限度額を超えるリスクは小さいといったところか。

西表島の道路は最高で40km/h

COMSの最高時速は60km/hだが、西表島は市街地は30km/h、市街地以外は40km/hという速度規制があるため、COMSの最高速度を試す機会はない。

坂道では40km/hに到達しないことも

西表島にも坂道はある。アクセルペダルをベタ踏みしても40km/hにならないことがある。

Uターンはしやすい

車幅の狭い自動車だけあって、Uターン(転回)時の半円は小さく済む。全長2.4m、全幅1.1m、全高1.5mである。

COMSの車両
COMSを正面から見たところ

目視による後方確認は難しい

車体の形状、そして、再度のドアのビニールの青色の部分により、斜め後方の目視確認の障害となる。また、窓部分のビニールもある程度濁っているので、視認性は通常の車の窓ガラスよりも劣る。

やまねこイーバの車両
赤枠部分で斜め後方を確認し難い

窓を閉めきると蒸し暑い

エアコンはない。前述の通りチャックで閉めるビニール式の扉・窓であるが、これに西表島の気温・湿度の事情を加えると、チャックを締め切るとだんだん蒸してくる。少しチャックを開けて、窓を開けた状態で走行するのが良いだろう。

カーナビは無いがスマホホルダーがある

カーナビは無いがスマホホルダーは標準で用意されていた。スマホホルダーはCOMSの標準装備というよりはやまねこイーバ標準装備である。筆者が使っているSamsung Galaxy S20+(画面サイズは6.7インチ)も取り付けることができた。

西表島では携帯の電波が掴めないところがあるので、ある程度の地図は頭にも入れておこう。

やまねこイーバのスマホホルダー
やまねこイーバのスマホホルダー

上記の写真にはUSBケーブルが映っているが、充電はできなかった。USBケーブルの先を辿っていくと、反対側の端子は何も接続されていなかった。

複数台利用時は他のやまねこイーバ車両と会話もできる

今回筆者は試さなかったのだが、レンタカー営業所スタッフの方によると、複数台で利用時はやまねこイーバの車両間で会話ができるように通信装置が付いているとのことだった。

会話ができる装置
フロントガラス右上に取り付けられた通信装置

総評

勾配のきつい坂道での馬力不足はあるものの、道路幅の狭い道もある西表島で対向車とすれ違ったり、普通車よりもためらいが少なくUターンできたりするのは良いと思う。

走行距離が50kmと短く、最近の電気自動車のようにあと何キロ走れるかという表示ではなく、ガソリン車のように目盛りで電気残量が表示されるので、返却まで電欠にならないかを常に気にしてしまう。

ビニールの扉であることが理由か、普通車のように密閉された空間というよりは、ある程度風を感じて走る乗り物という感じである。それだったらバイクにすれば良いかというと、バイクをレンタルしてしまうと大きく快適性が損なわれる可能性もある(西表島ではバイクのレンタルをやっている事業者もある)。それは屋根とワイパーが理由である。西表島はスコールの様な雨が降る。現に、今回の試乗でも途中から雨が激しく降ってきた。バイクだとカッパを着る以外には何もできないが、両サイドがビニールの扉とはいえ、雨にぬれず、ワイパーもあるのは雲泥の差である。

既に述べたように、この車両・サービスで西表島全島を堪能することはできない。西表島から石垣島へ帰るフェリーの時間までまだ時間があるときに興味本位でレンタカー営業所近辺を気軽に周るために借りるのが良さそうな気がする。

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旅好きが旅にまつわるデジタルライフをゆるめにお届けする場所です。執筆者はひと月に最低1度は海外に出掛け、現地の路地裏をウロチョロしています。

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