検証日:2023年5月中旬
検証結果:搭乗口をFace Expressで通過できなかった
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Face Expressとは
Face Expressとは、空港で国際線に搭乗する際に、顔情報を登録することで、保安検査場入り口と搭乗口での搭乗券とパスポートの提示に変えて顔認証で通過することができるというものである。
顔認証技術による新しい搭乗手続きを対象空港の国際線でご利用できます。
引用元:ANA ホームページ「顔認証による搭乗手続きについて」
「非対面・非接触」の手続きが可能となることで、搭乗手続きがスムーズになるとともに、安全・安心な旅をお届けします。
顔情報をご登録いただいた場合、保安検査場入口や搭乗ゲート*1では、搭乗券やパスポートの提示をすることなく、顔認証で通過することができます。
https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/prepare/information/face-express/
最新鋭の顔認証システムを使用した新しい搭乗手続きの方法です。
従来、国際線をご利用いただくにはチェックイン時、手荷物預け時、保安検査場、搭乗ゲートでパスポートと搭乗券を係員に提示し本人確認をする必要がありました。
Face Expressではチェックイン時にパスポートとお客さまの顔を照合し顔情報を登録することで、それ以降の手続きでパスポートと搭乗券の提示が不要となります。
引用元:JALホームページ「顔認証による搭乗手続きを開始!」
https://www.jal.co.jp/jp/ja/inter/faceexpress/
Face Expressが利用できる空港、航空便は限定されている
Face Expressが利用できる空港、航空便は限定されている。本記事投稿日時点では対象の航空便は以下の表の通りである。
対象空港 | 対象航空会社 | 対象便 |
---|---|---|
成田空港(NRT) | 日本航空(JAL) | 全路線 |
成田空港(NRT) | 全日本空輸(ANA) | 全路線 |
羽田空港(HND) | 日本航空(JAL) | 全路線 |
羽田空港(HND) | 全日本空輸(ANA) | パリ行、台北(松山)行 |
尚、全日空によると、保安検査場の通過のみであれば羽田発の全路線でFace Expressが利用できるようであるが、これが外資の航空会社など他社便にも通じる話なのかは未確認である(日本航空の羽田発は上の表の通り全路線対象であるが)。
羽田発の全路線において、保安検査場のご通過のみFace Expressをご利用になれます。
引用元:ANA ホームページ「顔認証による搭乗手続きについて」
https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/prepare/information/face-express/
出国審査はFace Expressとは関係なく行われる
Face Expressで顔情報を登録していても日本出国時の出国審査は通常通りに行われる。従って、Face Expressで顔情報を登録後にパスポートや搭乗券を鞄の奥底にしまってしまうのはまだ早い。しまうのは出国審査後がよいだろう。
【検証】実際に羽田空港から利用してみた
まずは、羽田空港第3ターミナルの出発階(3階)へ行く。今回は、全日空NH851(羽田→台北松山)で利用してみた。
チェックイン、搭乗券を発行する
Face Express登録機には搭乗券の二次元バーコードを読み込ませるので、まずは搭乗券を取得することになる。二次元バーコードは紙の搭乗券に印刷されているものでもオンラインチェックインで発行されるQRコードのどちらでもよい。
荷物の預け入れは、Face Expressの登録の前でも後でもどちらでも問題ない。
Face Express登録機で顔情報を登録する
搭乗手続きEカウンター付近(全日空のチェックインカウンター付近)にFace Expressの登録機が数台設置されている。

タッチパネルになっているので、タッチして登録を開始する。案内に従って、搭乗券の二次元バーコード、パスポート、顔の順で読み取りを行い、登録する。顔の撮影時はマスクは外す。

筆者は今回、Apple Watchに表示した搭乗券のQRコードで試したが、問題なく読み取ってくれた。
顔認証で保安検査場入り口を通過する
羽田空港第3ターミナルの保安検査場入り口では搭乗券の二次元バーコードを機械に読み取らせるのが通常であるが、Face Expressの場合は顔認証となる。Face Expressの場合は並ぶレーンが異なるので、案内を確認する。

筆者が保安検査場入り口に行ったときは、通常のレーンには数十人は並んでいたが、Face Expressのレーンには1人しかいなかった。余談ではあるが、以前はこの保安検査場入り口には航空会社のエリートステータス会員用の優先の入り口があったが、既に無くなっているようであった。
顔認証時はマスクは取る。搭乗券、パスポートの読み取り、提示はない。
保安検査を受ける
Face Expressかどうかは関係なく行われる。
出国審査を受ける
Face Expressかどうかは関係なく行われる。従って、パスポート、搭乗券が必要となる(自動化ゲートであればパスポートのみ)。
顔認証で搭乗口改札機を通過できるはずだが…
Face Expressを利用しない場合は搭乗口でパスポートと搭乗券を航空会社地上係員に提示することになる。筆者は搭乗口の列に並んでいたところ、搭乗券とパスポートの提示を求められた。ここで、Face Expressで搭乗したい旨を伝えたところ、この提示は不要となった。つまり、係員の提示要求に従うとFace Expressであるのにパスポートと搭乗券を提示することになってしまう。

また、改札機は2つあったが、Face Expressを利用する乗客用と利用しない乗客用とで改札機のモードをそれぞれ設定しているようであり(のちの係員の会話からそのようなモード設定があることが分かった)、Face Expressを利用する乗客はFace Express用のモードになっている改札機を使用しないといけない。このことからも、Face Expressを利用する旨を係員に口頭で伝えなければならないことになる。
その後、搭乗開始となったとき、筆者はFace Expressを利用しないモードになっている改札機に案内されてしまったようで(のちの係員の会話より)、顔認証ができず、改札機で立ち往生する状態となった。搭乗口でFace Expressの利用の申告をしていたのは筆者ぐらいだったようで、また、筆者の後ろに並んでいる乗客のこともあったのだろうか、改札機のモードを正すのではなく、筆者は通常通り、パスポートと搭乗券の提示による改札通過を案内されることとなり、顔認証は使えなかった。
今回の体験でFace Expressに対する航空会社地上係員の知識不足が気になるところであった。Face Expressで通過することを認識しているにも関わらず、ある係員が筆者に搭乗券を要求し、他の係員がFace Expressでは搭乗券は不要である旨をその係員に指摘していたからである。また、モードを逆に設定してしまったのか、改札機を逆に案内してしまったのか、いずれにしても何か新しいことをやるときに在りがちなミスが垣間見えた。
今回は残念な結果となった。
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Face Express利用客が多くないためか、航空会社の経験値もまだ低いのでしょう。