検証日:2020年2月上旬
検証結果:QRコード方式のモバイル決済であり日本人でも使用できるが、短期旅行者は現金でのチャージになる。
マレーシアの電子マネー&モバイル決済であるTouch’n Go eWalletを使ってみた。今回は筆者の体験をもとに、その使い方を解説していきたいと思う。
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事前準備:アプリのインストールとアカウント登録
Touch’n Go Walletアプリのインストール
Touch’n Go eWalletは専用のスマホアプリを通して使用するものである。AndroidにもiPhoneにも対応しており、それぞれのアプリストアからダウンロードできる。
アカウント登録
インストールしたらアプリを立ち上げてアカウント登録を行う。アカウント登録手順は、
- 電話番号を入力し、SMSで送られてきたワンタイムパスワードを使用して認証を行う。
- ログイン時や支払い時に必要な6桁の暗証番号を設定する。
- 名前、国籍、パスポート番号、メールアドレスを入力する。
である。電話番号については、筆者はマレーシア入国時に空港で購入したプリペイドSIMの電話番号を設定した。
この時点ではチャージ残高の上限は200リンギット(日本円で5000円程度)に制限されている。この制限を解除したい場合はelectronic Know Your Customer(eKYC)という認証を行う必要があり、制限が解除されると5000リンギット(日本円で13万円程度)までチャージできるようになる。eKYCは、アプリからパスポート写真と自分の顔写真を提出することで審査が行われ、48時間以内に結果が出る。
公式ホームページでも解説されているので、参照されたい。
> https://www.tngdigital.com.my/
Touch’n Go eWalletでの支払い方法
Touch’n Go eWalletでの支払い方法は2種類ある。
Alipay(支付宝)、WeChat Pay(微信支付)を使ったことがある方はそれらと同様と思っていただければよい。支払いに対応している場所は、店舗の入り口などに前出のTouch’n Go eWalletマークが示されている。
自分のバーコード/QRコードを読み取ってもらう方式
- アプリの”Pay”から自分のバーコード/QRコード表示させ、店員に向ける
- 店員がハンドスキャナでバーコード/QRコードを読み取る
- 6桁の暗証番号を入力する
自分でQRコードを読み取る方式
- アプリの”Scan”から店舗に貼り出されているQRコードを読み取る
- 金額を入力して確定する
- 6桁の暗証番号を入力する
- 支払い完了画面を店員に見せる
Touch’n Go eWalletへのチャージ方法
現金でのチャージ方法
駅に設置してあるチャージ機か、セブンイレブンやKK Super Martなどの店舗でチャージすることができる。チャージ機が設置してある場所、チャージ可能な店舗は、公式ホームページに掲載されている。今回はチャージ機でのチャージ方法を解説する。
なお、Touch’n GoではチャージのことをReloadと呼んでいる。
チャージ機での流れは以下である。
- チャージ機を操作し、現金を投入して、レシートを受け取る
- レシートに記載のPINを使ってアカウントにチャージする
上記の他に緑色の機械でもチャージできる。
チャージ機の操作手順は以下となる。
この機械では1リンギット紙幣は使用できないので、ご注意を。最後にレシートが出力されるので必ず受け取る。レシートに印字されているPINを使用してアカウントに反映させるためであり、これを行わないとチャージされたことにならない。
このあとの手順はレシートの中にも書いてあるが、まずは、Touch’n Go Walletアプリを立ち上げてログインする。
“+ Reload eWallet”をタップする。
画面上部にある”Enter your preferred amount”は無視して、”TNG Reload Pin”をタップする。
“TnG RELOAD PIN”にレシートに記載されているPINを入力し、”SUBMIT”をタップする。
これでチャージが完了である。トップ画面に戻ると、残高表示も反映されているはずである。
【2022年6月29日追記】2022年6月下旬時点で、このチャージ機からTouch’n Go eWalletのチャージは停止されていた。セブンイレブンでのチャージはできた。
クレジットカード/デビットカードでのチャージはできるか?
アプリでは前出の”Enter your preferred amount”から操作することでチャージ時にクレジットカード、デビットカードも選択できるようになっている。そこで筆者は、日本で発行されたクレジットカード、デビットカードで試してみたが、”Invalid card number”と表示され、チャージはできなかった。
海外の電子決済におけるこういった症状は、現地国発行のカードしか使用できないときに多い。しかし、公式ホームページを確認したが、使用するカードの発行国に関する記載を見つけることができなかった。そこで筆者はTouch’n Go eWalletを運営しているTNG Digitalに問い合わせたところ、以下の旨の回答があった。
チャージに使用できるのは、マレーシアまたはシンガポールで発行されたクレジットカード、デビットカードだけです
やはり、日本で発行されたカードではチャージできないとのことである。自国だけでなく、シンガポールも対象にしているのは、おそらくシンガポール人の入国者数を考慮したためであろう。
また、銀行口座からのチャージも対応しているがこれも日本の銀行では無理。以上から、短期旅行者は必然的に現金でのチャージとなるだろう。
利用明細の確認方法
アプリのトップ画面の”Transaction History”から、直近90日の利用明細を確認することができる。
Touch’n Goカードの紐づけ
プラスチックのTouch’n Goカード(myrapidカードを含む)をTouch’n Go eWalletのアカウントに登録しておくことができる。これによって何ができるようになるかというと、
- Touch’n Goカードの残高および最新5件の利用明細の確認
- 高速道路でのカードによるTouch’n Go eWalletからの支払い
である。Touch’n Goカードで支払いを行った場合などで残高が変わると、アプリの表示にもそれが反映される。わざわざ、駅の自動券売機などで確認しなくて済むようになる。
なお、カードの残高とeWalletの残高は別であり、カードをアカウントに登録しても残高が統合されるわけではない。
高速道路において、Touch’n Goカードを使用してeWalletの残額から通行料金の支払いができるが(PayDirect)、これについては今回は未検証である。
Touch’n Go eWalletで電車は乗車できるか?
以前の記事でも紹介したが、クアラルンプール市内の一部の駅の改札のみで対応される計画である。
KLエクスプレス/KLトランジット線では改札機にQRコードをかざすことで乗車できる。
Touch’n Go eWalletでバスは乗車できるか?
Touch’n Go eWalletはバスの乗車には使用できない。市街地を走る有料のバスに乗車する際にはTouch’n Goカード(MyRapidカードでもOK)が必要である。
シンガポールの電話番号でも登録可【2021年7月23日追記】
実は、2021年3月末をもってマレーシアのプリペイドSIMの有効期限を失効させてしまった筆者。そのときの話は以下の記事で紹介している。
Touch’n Goのアカウント登録時に登録した電話番号は後に失効させてしまうこのプリペイドSIMのものであり、このSIMは有効期限が過ぎるとその電話番号は別のSIMの電話番号として市場に出回ることになる。Touch’n Goのアカウントに登録している電話番号にはワンタイムパスワード(OTP)や支払い処理額・処理IDがSMSで通知されるので、失効してしまった電話番号を Touch’n Goのアカウントに登録したままにしておくと他人にアカウントを使用されたり、プライバシーが漏れてしまう危険性がある。
筆者はマレーシアの電話番号を他に持っていないのでひとまず電話番号を未登録の状態にしておきたいところだが、Touch’n Go eWalletアプリを操作する限りそれはできないようだ。しかし、登録できる電話番号はマレーシア(+60)だけでなくシンガポール(+65)も対応しているように見えた。筆者はシンガポールのプリペイドSIMの電話番号は持っている。
そこで、 Touch’n Go eWalletアプリからシンガポールの電話番号で試したが、登録することができた。新しく登録する電話番号に対してワンタイムパスワード(OTP)が通知されるのでそれを受け取れる環境であればシンガポールの電話番号でも登録できる。旧電話番号に対しては何も問われない。この変更操作は日本で実施した。SingTelのSIMは日本で電波を掴んでSMSの受信ができるためである。
ちなみに、 Touch’n Go eWalletアプリの表示を見る限り、マレーシアとシンガポール以外の国の電話番号は対応していないようである。
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現金でのチャージが面倒ではあるが、マレーシアの15万の加盟店で導入されている決済手段であるため、セットアップしてしまえば便利に使えるものである。