検証日:2021年10月下旬
検証結果:日本でカーナビアプリとして使うのはやめておいたほうがよい
以前、バイクでApple CarPlayを利用した記事を投稿したが、このとき百度地图(Baidu Map)がApple CarPlay上に表示されていることに気付いた。つまり、Apple CarPlayに対応したアプリであるということだ。
百度地图とは中国版の地図アプリであり、中国に居る場合は必須アプリと言っても過言ではない。このアプリはカーナビとしても使え、中国のタクシー運転手も利用している。日本の地図も表示することができるので、今回は、Apple CarPlayでの利用も兼ねて、百度地图を日本の道路を走行するときのカーナビとしての利用に耐えうるものかを動作検証してみた。

出典:Apple Inc.
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システム構成
どのような構成で普通車でApple CarPlayを使用するのかを解説する。なお、iPhoneと車両が有線接続のケースである。

車両へのApple CarPlayのセットアップ方法については、本記事では割愛する。車両のディスプレイオーディオによって画面やボタンなどのユーザーインターフェイスが異なるためであり、自動車メーカー発行の取扱説明書を参照していただきたい。
今回はApple CarPlayを通して百度地图を利用したが、Apple CarPlayは使用せずに以下のようなスマホホルダーを用意してスマホ単体で利用することも無論可能である。
動作環境
今回用意したものは次の物である。車両はディスプレイオーディオがApple CarPlayに対応していれば何でも良いだろう。無論、Apple CarPlayを使わなければ、四輪車であれば何でも良い。
スマホ
iPhone12 Pro Max、iOS 15.0.2
Lightning – USBケーブル
iPhoneの充電用のLightningケーブル
ナビアプリ
Beijing Baidu Netcom Science & Technology Co.,Ltd 百度地图(Baidu Map) バージョン15.9.5
車両
トヨタ自動車株式会社 ヤリス 型式5BA-KSP210

検証コース
沖縄県の知念岬から平和祈念公園まで(以下はGoogle Mapでのルートである)
出発直後と到着直前にそれぞれ左折を1回ずつ行うだけで、あとは国道331号を直進していくだけという単純なルートである。
検証結果
実際に走行してみた。
高速走行・最短時間・低料金などの優先経路を選択できる
百度地图では、ルートを検索するときに、以下のルート選択ができる。
- アプリの推奨ルート(デフォルト)
- 混雑を避ける
- 時間優先
- 低料金優先
- 高速道路を通らない
- 高速道路を優先的に通る
下の絵は検証コースを百度地图でのルート検索結果である。デフォルトの優先で検索したが、前述のGoogle Mapと同じであり、妥当なルートであろう。

今回の検証コースには該当しないが、有料道路を通るルートの場合、その料金までは表示されない。無料で利用できるカーナビアプリで料金表示までされるのは本記事投稿日時点だと「Yahoo!カーナビ」のみである。また、ルートの線は有料道路も一般道も同じ色で描かれるので、絵だけではどのあたりから有料道路を通るのかは分からない。
細道、遠回りを案内される
走行していると、突然、細道へ案内されることがあった。その細道は案内開始時点では通らないはずの道路であり、また、遠回りとなるルートであった。その細道を無視して当初のルートを走行しているとまた別ルートを案内することが何度もあった。道路の混雑状況を考慮してリルートされたのか理由は不明であるが、最終的にはナビとしての役目が果たせないほどであり、最初に案内されたルートを覚えていたので、ナビの案内は無視して走った。

赤:突然案内された細道
Google Mapも細道を案内すると言われる。ただ、Google Mapの場合は最短経路を案内しようとするがゆえの攻めの選択のようだが、百度地图の場合は明らかに遠回りなので、この点は大きなデメリットであろう。
右左折、分岐までの距離がズレていた
既に交差点に侵入しているにもかかわらずまだ50m手前である旨の表示がされていた。その交差点は最近工事をして少し交差点の位置がずれたというわけでもないところである。
右左折、分岐の案内が3Dグラフィクス

自動車メーカー純正のカーナビ、あるいは、有料のカーナビアプリ並みに丁寧な右左折、分岐のイメージ表示(3D)となっている。これは日本の無料のカーナビアプリよりも優れている点であった。
以下は、有料のカーナビアプリであるNAVITIMEの「カーナビタイム」であり、右左折、分岐で3Dイメージ表示で案内される。
交通規制・速度取り締まり情報は案内されない
道路工事により車線規制されていてもその情報は案内されなかった。おそらくVICSに対応していないからだろう。そしてオービスや速度取り締まり区間の案内もない。
走行中の道路の規制速度は案内されない
カーナビアプリの中には走行中の道路の規制速度を案内してくれるものがある。例えば、Apple社純正の地図アプリ「マップ」である。百度地图は非対応だが、この点については道路標識・標示を見ていれば良く、また、ナビの情報が保証されるわけでもなく実際の交通ルールを確認すべきであるから、あまりデメリットにはならないだろう。尚、車種によってはナビとは別に運転席のディスプレイに表示してくれる場合もある(下の写真)。

(写真は停止中に撮影したもの)
データ通信量が多め
40分程度の走行時間、17kmほどの走行距離で約300MBの通信量となった。他のカーナビアプリと比較しても格段にデータ量が多く、デメリットの一つである。
対応言語は中国語のみ
音声も地名も中国語となる。他の言語には対応していない。ただし、中国語が分からなくても画面を見るだけでも大体は分かるだろう。
総評
東京都内のルートを検索してみたところ、一方通行で進入禁止のルートを案内されることもあった。中国人が日本に来てレンタカーで日本の公道を走るのに百度地图を使うのは現時点ではやめておいた方が良いだろう。中国とは違い、Google Mapが使えるという事情もあるので。