原付レッツ4にUSB電源を取り付けてみた

投稿日:2022年11月29日
更新日:

突然だが、原動機付自転車にUSB電源を取り付けてみた。配線を切断したり、カバーに穴をあけたりといった、車両の既存のパーツを改造することなく、組み立てていくだけの方法を今回は紹介する。

用意したもの

デイトナ社スレンダーUSB(品番:98438)

キジマ社ACC分岐ハーネス(品番:‎304-7141)

新規に購入したのは上記2点で、あとは、

  • ドライバー⊕2
  • 精密ドライバー⊕0
  • 精密ドライバー⊖1.8
  • スパナ 14mm (2個)
  • ペンチ
  • ビニールテープ
  • ハサミ (ビニールテープを切るため)
  • 電圧テスター
  • USB電圧電流チェッカー (なくても良い)

である。

【2022年11月30日追記】ACC分岐ハーネスはキタコ社の以下のハーネスでも動作することを確認した。付いているアース線は使用しない。

費用

購入した上記2点のパーツの合計は3千円ほどであり、掛かるのはそれだけである。

某大手バイク用品店に確認したところ、そのバイク用品店では取り付けにパーツ代(USB電源ユニットなど)と工賃で1万数千円するそうだ。しかも、USB電源ユニットは自分の好きなものではなく、その店舗指定のものの中から選ぶことになる。USB電源ユニットを持ち込みで依頼すると、さらに高くなるがその場合でもUSB電源ユニットは指定メーカーである必要があるとのことだった。

取り付け車両

原動機付自転車 ・・・ SUZUKI Let’s4 型式CA45A (UZ50DL2)

配線図

取り付け後の配線を以下の図で示す。

ブレーキスイッチの配線からアクセサリー電源プラス(ACC+)を分岐させ、USBの電源とする。今回の取り付け車両はリアでもフロントでもブレーキスイッチの配線からアクセサリー電源を取ることができる。

USB電源取り付け後の配線図
USB電源ユニット取り付け後の配線

アクセサリー電源とは、メインキーON(バイクのキーをONにする)のときに電気が流れる電源のことである。メインキーOFFのときにも電気が流れてしまうと、そのうちバッテリーに蓄えられた電気がなくなってしまう(バッテリー上がり)ので、メインキーONのときだけ通電するようにする。意図的にメインキーOFFのときでも通電するようにするならば、OFF/ONのスイッチがあるようなUSB電源ユニットを用意することになる。

【2023年1月24日追記】デイトナ社のD-UNITと組み合わせたときの配線図は以下である。

USB電源取り付け後の配線図(D-UNITと組み合わせた場合)
D-UNITと組み合わせた場合の配線

取り付け手順

今回は、取り付けるUSB電源ユニット、ACC分岐ハーネスの配線類はすべてハンドルカバー内に収める作例である。外すカバーは、ハンドルのフロントカバーとバッテリーのカバーである。

組み立て工程の中間で4回の電気系統の動作確認があるが(最終確認を含めると合計5回)、これは、うまく通電していないときの原因を特定するための近道である。すべてを組み立て終わってから最後に1回だけしかやらないとすると、通電出来ていなかったときに原因を特定するために工程を遡っていかなければならず(カバーを外したり、配線を外したり)、手間が掛る。

バッテリーのカバーを開け、マイナス端子を外す

電装系に触る前に、車両のバッテリーのマイナス端子を外しておく。ドライバー⊕2でバッテリーのカバーのネジ2個を外し、カバーを開ける。その後、バッテリーのマイナス端子をドライバー⊕2で緩めて接続されている端子を外す。

カバーを開けたところ
バッテリーのマイナス端子はまだ外していない

これは作業中にバッテリーのプラスに繋がっている配線の端子を誤ってボディフレームなどのマイナスに触れさせてしまった場合によるショートを防止するためである。

USB電源ユニットをバッテリーに繋いで動作確認する

デイトナ社のスレンダーUSBのプラス線をバッテリーのプラス端子へ、マイナス線をバッテリーのマイナス端子に接触させ(所謂、「バッ直」の状態)、USB電源ユニットが通電するかを確認する。デイトナ社の取扱説明書でもこの作業指示が記載されている。USB電源ユニットの動作確認は、スマホをUSBで繋いで充電されるかを見れば良いだろう。ここで、通電しなかったら、USB電源ユニットの初期不良の可能性がある。

以下のような電圧電流チェッカーで確認しても良いし、USB機器がスマホならアンペアチェッカーのようなアプリで確認しても良い。

ミラー、ハンドルフロントカバーを外す

Let’s4の場合、ハンドルのフロントカバーを外すには、その前にミラーを外す必要がある。ミラーがフロントカバーの穴を通っているからだ。ミラーを外すには14mmのスパナを使用する。

ミラーを外したら、ハンドルのカバーの前1ヶ所、後ろ2ヶ所のネジをドライバー⊕2で外す。

前側のネジがある場所(既に外したところ)
後ろ側のネジがある場所(既に外したところ)

ネジを外せば、カバーは前側に外せる。

フロントカバーはヘッドライトの配線で繋がった状態になっている。作業がしやすいように、ヘッドライトのカプラーを外し、フロントカバーを完全に取り外してしまっても良い。

ヘッドライトの配線のカプラー
ヘッドライトの配線のカプラーを外したところ

ブレーキスイッチにACC分岐ハーネスを取り付ける

ブレーキスイッチのカプラーは配線類と一緒に押し込められているので、探し出して前に出す。ハンドルカバー内には複数の形状のカプラーがあるが、前述のキジマ社のACC分岐ハーネスと同じ形状のカプラーを見つけ出す。リア用でもフロント用でもどちらを選んでも良い。

探し出したらカプラーを外すが、このときにツメの部分を押し下げた状態で引っ張らないと外せないので、精密ドライバー⊖1.8を使ってツメを押し下げてカプラーの穴に差し込み、その状態で指で両方を引っ張る。精密ドライバーのサイズは⊖1.2などでも大丈夫だろうが、ブレーキスイッチの配線が短く、あまり手前に持ってこれないのでドライバーを使わずに指でやるのは厳しい。

カプラーのツメ

外れたら、そこにキジマ社のACC分岐ハーネスのカプラーを差し込む。

キジマ社のACC分岐ハーネスを取り付けたところ

カプラーを繋いだら、一旦バッテリーのマイナス端子を繋ぎ、キジマ社のACC分岐ハーネスのACC+配線のギボシ端子に電流が流れているかを電圧テスターを使って確認する。電圧テスターのプラス側をACC+に、マイナス側をバッテリーのマイナス端子に触れさせて確認する。バイクのメインキーをONにしたときに電圧が12Vになっていれば良い。確認できたらバッテリーのマイナス端子をまた外しておく。電圧テスターは以下のような安いもので良い。

分岐したACCにUSB電源ユニットのプラス端子を差し込む

ギボシ端子がデイトナ側(CA/CB103)とキジマ側とで大きさが合っていないので(デイトナが小さい)、差し込むとゆるい。そこで、ペンチを使ってギボシを挟み、締め付ける。デイトナ側かキジマ側のどちらか一方のギボシ端子を取り替えてサイズを合わせてももちろん良い。

差し込んだら、防水、ショート防止のためにビニールテープでグルグル巻きにする。

ギボシ端子をビニールテープで巻いたところ

USB電源ユニットのマイナス端子をフレームに取り付ける

USB電源ユニットのマイナス端子をアースに取り付ける。ボディアースにしたいところであるが、Let’s4はフレームで取り付けられる部分の選択肢が少なく、ハンドル近辺だと、ハンドルに2ヶ所あるのでどちらかのネジを緩めて取り付ける。

ハンドルバーにUSB電源のマイナス端子を取り付けたところ

この場所でアースが取れているかを電圧テスターで確認する。外していたバッテリーのマイナス端子を一旦取り付ける。電圧テスターのプラス側をバッテリーのプラス端子へ、マイナス側をアースを取る場所に触れさせてみる。電圧が低い、あるいは、ハンドルを左右に切ると不安定な場合(※)は他のところからアースを取ることになる。ボディフレームだとハンドルのカバー内では接続できず、他のカバーも開ける必要がある。バッテリーまで延長してバッテリーのマイナス端子に接続する場合は配線を延長させないと届かないので、別途配線コードを用意し、延長のための工作を行うことになる(大変な作業ではない)。他の電装部品を追加する予定があるならば、デイトナ社のD-UNITのようなアクセサリー電源ユニットを介して接続しても良いだろう。

※ハンドルバーは抵抗値があり、また、ボディフレームとはベアリングで接触しているため、電圧が低かったり、通電したりしなかったりといった現象が起こることがある。

バッテリーのマイナス端子を取り付ける

外していたバッテリーのマイナス端子を元に戻す(前工程の電圧確認で問題無ければ既に付けた状態ではあるが)。メインキーをONにし、USB電源ユニットでスマホの充電などで通電テストを行い、動作しているようであればバッテリーのカバーを閉める。

ハンドルフロントカバー、ミラーを取り付ける

デイトナ社のスレンダーUSBおよびキジマ社のACC分岐ハーネスの配線類を押し込め、フロントカバー、ミラーの順で元通りになるように取り付ける。配線は好みに応じてデイトナ社スレンダーUSB付属の結束バンドで束ねる。

USB電源ユニットの配線はミラーの穴から出したいところだが、USB電源ボディと変圧器が配線の両端にあり、それらは取り外せない。変圧器ごと外に出すのは抵抗があるので、残念ながら配線をミラーの穴には通せない。USB電源ユニットの配線はブレーキレバーの周りの隙間から出すことになる。ブレーキレバーと干渉しないようにブレーキレバーカバーの前側から出すのが良いだろう(下の写真)。

USB電源ユニットの配線を外へ出す場所

ミラーの向き調整でスパナを二つ使うことになる。

USB電源ボディをクランプバーに取り付ける

クランプバーにUSB電源ボディを挟んで精密ドライバー⊕0を使ってネジを締める。ネジは落としやすいので慎重に。USB電源ボディとクランプバーの間には必要に応じて付属のゴムスペーサーを挟む。

クランプバーにUSB電源ボディを取り付けたところ

今回のスレンダーUSB電源はΦ22(直径22mmという意味)またはΦ25.4のパイプに取り付けることができるが、Let’s4はハンドルバーがカバーに隠れており取り付けられる場所がないので、ミラーに取り付けられるクランプバーを別途用意することになる。スマホのマウントとしてもどちらにしても必要になる。

USB機器を接続して通電確認する

すべてを組み立てた後、USB電源ユニットが通電するかの最終確認を行う。USB電源ユニットにUSBケーブル、USB機器を接続する。バイクのキーを回してONにして(このときはエンジンを掛けなくても良い)、USB機器に電流が流れているかを確認する。

USB電圧電流チェッカー
通電チェック

今回のUSB電源ユニットは、USB1ポートに付き最大2.4Aの電流が流れる仕様であるが、測定時にそこまで出るかはUSB接続機器側にも依存する。

バイクの動作を確認する

重要なのはこの工程である。もともとのバイクの機能が動作しなくなってしまったら問題である。

ハンドルを左右に切ってみる。今回はハンドルカバー内で増設した配線が閉じているが(アースをボディフレームやバッテリーから取る場合を除く)、ハンドルを切ってみて、突っ張る感じがあれば、配線をいじったことでハンドルが切れなくなっている可能性がある。

また、ブレーキスイッチから電源を取ったので、ブレーキランプが点灯するかも確認する。さらには、全般的に、灯火類の点灯、点滅も確認しておく。路地裏を1周走行してみた方が良い。

灯火類が正しく動作しなければ交通違反であり、かつ、安全上問題が生じるので必ずこの確認は行いたい。

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普通、原付にUSB電源を付けたりしません。原付でスマホなどを充電するほど長時間走行したりはしませんから。ただ、そこは旅系のこのブログ。筆者は原付で旅行したこともあるので今回記事にしてみました。

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旅好きが旅にまつわるデジタルライフをゆるめにお届けする場所です。執筆者はひと月に最低1度は海外に出掛け、現地の路地裏をウロチョロしています。

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