検証日:2023年5月中旬
検証結果:日本人短期滞在者が利用するには国際運転免許証が必要で、かつ、日本で自動二輪の免許を取得している必要がある
台湾には電動シェアバイクを展開している企業が3社ある(以下)。
- Gogoro(睿能創意股份有限公司)
- WeMo(威摩科技股份有限公司)
- iRent(和雲行動服務股份有限公司)
前回の記事ではGogoro社のGO SHAREを紹介した。
今回は、WeMo社が展開しているWeMo Scooterを紹介したいと思う。因みにiRentは外国人は居留証がないと利用できない。
WeMo Scooter公式ホームページ
> https://www.wemoscooter.com/
各見出しへのリンク
電動バイクである
WeMo Scooterは電動バイクである。従って、ガソリンスタンドで給油することはない。
KYMCO製バイク
バイクはKYMCO社のCandy 3.0 EVである。台湾での車両区分としては「普通輕型機車」(緑ナンバー)である。二人乗りはできない。
利用者がバッテリーのチャージを行わない
バッテリーのチャージはWeMo社が行う。利用者でバッテリー交換やチャージを行ったりはしない。従って、予定している走行距離に見合うバッテリー残量のある車両を借りるようにする。フル充電で45km走行できるとのこと。
必要な免許
WeMo Scooterに限らず、一般的に台湾で自動車を運転するには、日本の運転免許証と中国語翻訳文が必要である。台湾はジュネーブ条約に加盟していないので国際運転免許証(International Driving Permit)での運転は不可である。公益財団法人日本台湾交流協会によると、中国語翻訳文は日本台湾交流協会台北事務所、高雄事務所、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が発行したものに限られるとのことである。数日程度の台湾滞在であれば、事前に日本でJAFに発行してもらうのがよい。JAFの場合はWebから申請・費用の支払いを行い、日本のセブンイレブンでネットプリントというのが基本となる。費用は4,400円であるが、セブンイレブンでの印刷代が別途掛かる。台湾のセブンイレブンではネットプリントによる印刷はできない。
台湾の法律上、WeMo Scooterの車両の運転に必要な運転免許の区分は、台湾では「普通輕型機車」であり、対応する日本の免許だと「原付」である。日本台湾交流協会が日本と台湾の運転免許の対応表を示している。
法律上は日本の普通免許を持っていれば乗れることになるのだが、WeMoの規約上、日本人短期滞在者は日本の自動二輪免許を持っていないとWeMo Scooterを利用する資格がない。これについては後述する。
メーター類は電子表示
スピードメーター、トリップメーター、オドメーター、バッテリー残量(1本ずつ)、時計、走行モード(スポーツモード、通常モード)、走行可能距離は電子表示される。
収納スペース
前かごはない。メットインスペースは通常のスクーターぐらいの広さはある。このメットインスペースにスマホを入れてはいけない。メットインの開け閉めはスマホアプリから行うため、スマホを入れて閉じてしまうと開けられなくなってしまう。
スマホホルダーの搭載は車両ごとに違う
スマホホルダーは付いている車両と付いていない車両がある。筆者の体感だと付いていない車両の方が多そうであったが正確な割合は未確認である。
iPhone12 ProMaxは取り付けることが出来たがこれ以上のサイズのスマホだと厳しそうであった。
GO SHAREとは違い、無線充電はされないが、車両の荷掛けフックのあたりにUSB電源(Type-A)がある。
シェアバイクである
街中に駐車してあるWeMo Scooterの車両を見つけて借り、街中の一般のバイク用駐車場に返却する。有人店舗での貸し借りではない。
日本とは違い、公道にバイク用の駐車スペースがある。
返却は必ず合法的に駐車できる場所へ停めるようにする。台湾では違法駐車はあっという間にレッカー移動されてしまう。
サービス展開は3都市
WeMo Scooterのサービス提供エリアは以下の都市である:
台北、高雄、新北
因みに、新北市のサービス提供エリアは観光地として有名な「淡水」近辺である。台北市街地でレンタルして直接行くことも可能である。
外国人旅行者でも利用可能
外国人短期滞在者であっても以下の条件を満たしていればWeMo Scooterの利用資格がある:
- 18歳以上である
- パスポートを持っている
- 国際運転免許証があり、区分Aの車両の運転が許されている
この条件はWeMo Scooterの利用規約である。
国際運転免許証の区分Aの車両というのは、二輪車のことである。日本の普通免許・原付免許では国際運転免許証で区分Aの車両の運転は許されず、許されるには普通二輪(小型限定可、AT限定可)または大型二輪(AT限定可)の免許を取得していなければならない。
WeMo Scooterの利用規約と法律上の条件の両方を満たしている必要があるので、
- 日本で自動二輪の運転免許を取得している
- 日本の運転免許証の中国語翻訳文がある
- 18歳以上である
- パスポートを持っている
- 国際運転免許証を発行している
というのがWeMo Scooterを運転できる条件となる。
また、法的、事業的な条件とは別に、日本にはない二段階左折(中文:機慢車兩段左轉)や交通標識などの交通ルールの事前勉強も必要である。
利用料金は時間制
今回検証したときは、最初の6分間で18ニュー台湾ドル(NT$)、6分以降は1分につき3NT$の加算であった。
例えば、10分間利用すると30NT$となり日本円だと140円ほど(本記事投稿日時点での為替)となる。GO SHAREの同じ車両クラスのGogoro VIVAだと最初の6分間で15NT$、6分以降は1分につき2.5NT$の加算なので、10分間の利用だと25NT$で少しだけWeMo Scooterの方が高いが日本円で高々20円程度の差である。
また、車両によっては以下の画像のように減額されるようである。
このような減額された車両はランダムで出現するようである。
利用料金はアカウントに登録したクレジットカードから引き落とされる。日本で発行されたクレジットカードで問題ない。LINE Pay、Apple Payでの支払いにも対応している。
アカウント作成
WeMo Scooterを利用するにはWeMoのアカウントを作成する必要がある。アカウント作成はアプリから行う。アプリのリンクは公式ホームページにある。GO SHAREとは違い、アプリストアを利用するアカウントの国設定は台湾でなくてもダウンロードできる。
アカウント作成は日本の電話番号でも良い
アカウント作成には電話番号が必要となるのだが台湾の電話番号(+886)ではなくても良い。ここはGO SHAREとは違う点である(GO SHAREは台湾の電話番号が必要)。SMS認証でアカウントにログインするのでSMSが受信できる必要はある。
台湾の電話番号で登録する場合であっても、その電話番号は空港で販売されているプリペイドSIMで問題ないが、後述する通り、有効期限が切れたときに作業が発生する。
WeMoアカウントはGoogle、Facebook、Apple、LINEのいずれかとのアカウント連携になるので、これらのいずれかのアカウントを事前に用意しておくことになる。
WeMoアカウントの作成直後は、電動自転車しか借り受け出来ない状態である。バイクを利用するにはさらに書類の提出が必要である。
バイク利用に必要な書類を追加提出する
アプリのアカウントの項目から進み、バイク利用に必要な書類をアップロードする。
国際運転免許証の表面と写真のページをアップロードする。国際運転免許証の画像をアップロード後、すぐにバイク利用が有効化されるようである。
借り受けから返却までの手順
借りたい車両をアプリから予約する
アプリのマップ上で借りたい場所にある車両を選択する。すると、その車両のバッテリー残量(走行可能距離)、利用料金を確認することができる。借りたい車両か決まったら、その車両選択中に「Reserve」をタップする。10分間、車両が予約される。このとき有料の車両保険オプションを追加する場合は「Add WeMo Protection」をONにしてから「Reserve」をタップする。
車両の前まで来たらアプリから借り受け開始する
選択した車両はアプリ上でナンバーが表示されるので、実際に車両を見つけるときはアプリ上のマップとナンバーを手掛かりにする。
予約した車両を見つけたら、アプリの「Rent」をタップして借り受け開始する。このタイミングから料金の計測対象の時間が始まる。
アプリで車両の電源を入れる
借り受けを開始しただけでは、まだ車両に電源は入っていない。アプリの電源ボタンをタップして車両の電源を入れる。
電源を入れてもまだエンジンはかかっていない状態である。
アプリでシートを開ける
アプリのシートボタンを押すとシートが開く。シートを開ける理由は中に入っているヘルメットを取り出すためである。
ヘルメットをかぶる
ジェット型と半キャップがそれぞれ一つずつ入っている。ヘルメットキャップもあるので、それをかぶったうえでヘルメットをかぶる。
ヘルメットとヘルメットキャップを取り出したらシートを閉める。決してスマホを中に入れてはいけない。万が一スマホを入れてしまい取り出せなくなってしまった場合は別の電話機でWeMoへ電話連絡することになる。
車両のエンジンを掛ける
まず、サイドスタンドまたはセンタースタンドをはらう。サイドスタンドが立っているとエンジンは掛からない。
その後、ハンドル左のリアブレーキのレバーを握りながらセルボタンを押す。
この状態でアクセルを捻ると前へ進む。ゼロからの加速が強めのようなので、アクセルはゆっくりと捻った方が良い。
目的地に到着したらスタンドを立て、ヘルメットを元に戻す
目的地に到着したら、サイドスタンドまたはセンタースタンドを立てる。
次に、アプリでシートを開けて、ヘルメットを元に戻す。使用済みヘルメットキャップはメットイン内に入れずに自分で持ち帰って処分する。シート内の私物の取り忘れがないことを確認後、シートを閉める。
車両の電源を切る
アプリの「Shut Off」ボタンを3秒長押しして車両の電源を切る。
アプリから返却操作を行う
アプリの「Return」をタップする。
この後、支払い方法にApple Payを設定している場合はApple Payの支払いになる。その後、返却の現場写真をアップロードする。
これで返却完了である。掛った料金や走行距離などはアプリ内で確認することができる。
返却はWeMo Scooterのサービスエリア内でないとできない(サービスエリア外を走行や停車はできるようであるが)。
遺失物はWeMoのホームページでも日付、車両ナンバー、遺失物の内容が公開されているので、時間が経ってしまった場合はそちらを確認してみよう。
保険内容をよく確認してから借りた方が良い
WeMo Scooterの保険は抜粋すると以下のようになっている。対人・対物無制限ではないのでリスクがある。詳細はWeMo Scooterのホームページを参照されたい。
【WeMo Scooterの保険内容】
・対人補償(自賠責:1人200万NT$まで 任意保険:1人200万NT$、1事故400万NT$まで)
・対物補償(20万NT$まで)
・人身傷害補償(200万NT$まで)
・車両保険(有料オプション「WeMo Protection」、6分まで3NT$でそれ以降は5分毎に1NT$加算される。2万NT$までの車両の損害は利用者に負担はなしで超える場合は差額の負担が発生する)
海外ツーリングでの保険については過去の記事でも触れているので、そちらも参照していただきたい。
プリペイドSIMでアカウントを作成した場合
一般的にプリペイドSIMは有効期限が過ぎるとそのSIMで使っていた電話番号は新たな利用者に渡ってしまう。
WeMoアカウントへのログインは登録したパスポート番号の入力と電話番号へSMSで送られてくるパスコードを使って認証するため(SMS認証)、電話番号の利用権が他人に渡ってしまうとパスポート番号が知られていなければ他人がログインする可能性は低いものの、セキュリティ上は弱い。
もし他人にWeMoアカウントを利用された場合、その人物による交通事故や交通違反は自分が起こしたものとWeMo社に認識される可能性があるのと、利用料金がWeMoアカウントに登録している自分のクレジットカードから引き落とされることになる。
WeMoアカウントに登録している電話番号はアプリ上から変更できるので、プリペイドSIMの有効期限が過ぎた場合は、ひとまず日本の電話番号に変更しておいた方が良いだろう。